平成17年度 宅地建物取引主任者資格試験 解説・要約版 

宅地建物取引業法の分野 

◆実際の受験者がどう解いたのか,見ることも参考になります。

 ⇒ 平成17年宅建試験・受験者はこう解いた! 宅建業法

【問30】 宅地建物取引業の免許 (以下この問において「免許」という。) に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 の所有するオフィスビルを賃借しているが、不特定多数の者に反復継続して転貸する場合、は免許を受ける必要はない。

2 建設業の許可を受けているが、建築請負契約に付随して、不特定多数の者に建物の敷地の売買を反復継続してあっせんする場合、は免許を受ける必要はない。

3 が共有会員制のリゾートクラブ会員権 (宿泊施設等のリゾート施設の全部又は一部の所有権を会員が共有するもの) の売買の媒介を不特定多数の者に反復継続して行う場合、は免許を受ける必要はない。

4 宅地建物取引業者である (個人) が死亡し、その相続人の所有していた土地を20区画に区画割し、不特定多数の者に宅地として分譲する場合、は免許を受ける必要はない。

 正答率
 64.2%
【問30】 宅建業の定義

 不動産の賃貸や管理は宅建業には該当しないというのは頻出問題だが,肢3,肢4にひっかかった方が多いようである。宅建業法の問題は,過去問の年数を多く演習する必要はないが,基本的な知識でもよく理解しておくことが必要である。

1 ○ 賃貸

 はオフィスビルのオーナーで,は不特定多数の者に反復継続して転貸している。
は賃貸人,は転貸人であるから,宅建業には該当せず,ともに免許を受ける必要はない。

2 × 建設業者が付帯業務として土地のあっせんを行う場合

 不特定多数の者に建物の敷地の売買を反復継続してあっせんする場合は,建築請負契約に付随するものであったとしても,宅建業に該当し,免許を受けなければならない(建設省・回答・昭和27.8.11)ので,誤り。

3 × 共有会員制での会員権の売買

 旧建設省時の通達によれば,共有会員制のリゾートクラブ会員権 (宿泊施設等のリゾート施設の全部又は一部の所有権を会員が共有するもの) の売買であっても,実質的には建物の売買と異なるところはないので,宅建業に該当し,宅建業の免許を受けなければならない(建設省通達・平成元.9.27)なので,誤り。

 【出題歴】平成8年・問41・肢4,

4 × 個人業者の死亡による免許の失効

 個人業者が死亡した場合,免許は失効し,その相続人は,個人業者が死亡する前に締結した契約に基づいて取引を結了する目的の範囲内であれば,なお宅建業者とみなされる(宅建業法76条)

 しかし,は,単に被相続人が所有していた土地を区画割して不特定多数の者に宅地として分譲するのであるから,個人業者が死亡する前に締結した契約に基づいて取引を結了する目的の範囲内でのものとはいえず,の有していた免許とは何の関係もない。

 したがって,の行為は宅建業に該当し,免許を受けなければならないので誤り。

【問31】 宅地建物取引業の免許(以下この問において「免許」という。)に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 宅地建物取引業者社は、取締役が道路交通法に違反し、懲役1年執行猶予3年の刑に処せられたため、免許取消処分を受けた。が取締役を退任した後、社は改めて免許申請をしてもの執行猶予期間が経過するまで免許を受けることができない。

2 社の取締役が刑法第198条 (贈賄) の罪により罰金の刑に処せられ、その執行を終えてから3年を経過した場合であっても、社は免許を受けることができない。

3 社の取締役が、刑法第204条 (傷害) の罪により懲役1年執行猶予2年の刑に処せられた場合、刑の執行猶予の言渡しを取り消されることなく、かつ猶予期間の満了の日から5年を経過しなければ、社は免許を受けることができない。

4 甲県知事の免許を受けている社の取締役が、刑法第208条 (暴行) の罪により罰金の刑に処せられた場合、社の免許は取り消される。

 正答率
 57.2%
【問31】 免許の欠格要件(法人) と免許の取消し要件 

 法人の免許の欠格要件は頻出。役員・政令で定める使用人に処せられた罰金刑は刑罰によること,禁錮以上の刑は刑罰によらず欠格要件であることがポイント。(執行猶予中はこれに準じて考える。執行猶予が満了すれば欠格要件には該当しない。)

 正答率の低さは苦手意識によるものと見られる。

1 × 免許取消し後の免許申請

 取締役が懲役1年執行猶予の刑を受けたために,社は免許取消しを受けている。が引き続き取締役等支配力を有する者にとどまるならば,の執行猶予が満了するまでは免許を受けることができないが(宅建業法5条1項3号,7号),本肢では,が取締役を退任しているので,社は改めて免許申請して免許を受けることができる。

2 × 贈賄罪での罰金刑

 法人の役員が罰金刑に処せられても,暴行等の罪や宅建業法違反でのものでないかぎり,欠格要件には該当しない(宅建業法5条1項3号の2,7号)

 贈賄罪での罰金刑は免許の欠格要件には該当せず,社は免許を受けることができるので,誤り。

宅建業者が業務に関して他の法令に違反した場合は,指示処分・業務停止処分・免許取消処分を受けることがありますが,本肢ではそこまで考える必要はありません。

3 × 執行猶予の満了 

 社の取締役が,懲役1年執行猶予2年の刑に処せられていても,執行猶予期間が満了しているので,刑の言い渡しは効力を失っている。

 したがって,社は免許を受けることができる。

禁錮以上の刑の執行が終わり5年を経過しない者が役員にいるときは,欠格要件になる。

4 ○ 役員が欠格要件に該当する場合

 社の取締役が暴行の罪により罰金の刑に処せられた場合,法人の欠格要件に該当し(宅建業法5条1項3号の2,7号)。,免許権者 (都道府県知事又は国土交通大臣) は社の免許を取り消さなければならないので(宅建業法66条1項3号),正しい。

【問32】 宅地建物取引業法に規定する取引主任者に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 都道府県知事は、その登録を受けている取引主任者が、他人に自己の名義の使用を許し、その他人がその名義を使用して取引主任者である旨の表示をしたとき、当該取引主任者に対し、必要な指示をすることができる。

2 宅地建物取引業者は、10戸以上の一団の建物の分譲について案内所を設置して行う場合、その案内所において業務に従事する者の数に対する取引主任者の数の割合が1/5以上の成年者である専任の取引主任者を置かなければならない。

3 宅地建物取引業者の従業者である取引主任者は、本人の同意がある場合を除き、正当な理由がある場合でも、宅地建物取引業の業務を補助したことについて知り得た秘密を他に漏らしてはならない。

4 取引主任者は、甲県知事から事務の禁止の処分を受け、宅地建物取引主任者証を甲県知事に提出したが、禁止処分の期間が満了した場合は、返還の請求がなくても、甲県知事は、直ちに宅地建物取引主任者証をに返還しなければならない。

 正答率
 70.7%
【問32】 取引主任者の小問集合

 正解肢の肢1について,指示処分にとどまるレベルなのかと思った方は基本書の読み込み不足。監督処分や罰則は苦手意識を持つ方が多いが,覚えておくべきポイントは限られているので,苦手意識は脱却可能。

 肢2〜肢4も頻出問題。

1 ○ 指示処分

 都道府県知事は,その登録を受けている取引主任者が,他人に自己の名義の使用を許し,その他人がその名義を使用して取引主任者である旨の表示をしたとき,当該取引主任者に対し,必要な指示をすることができる(宅建業法・68条1項2号)

●備考● 

1 宅建業法上は,指示処分に該当するときに事務禁止処分にすることもできる(また,指示処分に従わないときも事務禁止処分にすることができる)(宅建業法・68条2項,3項)

2登録を受けている者 (取引主任者,又は,登録はしたが,取引主任者証の交付を受けていない者) が登録消除になるのは,登録欠格に該当するに至ったとき,不正手段による登録や取引主任者証の交付を受けた,指示処分に該当し情状が特に重いとき,事務禁止処分に違反したとき,等の場合がある(宅建業法・68条の2第1項)

2 × 案内所で取引主任者を置くべき数

 宅建業者は,10戸以上の一団の建物の分譲について案内所を設置して行う場合,その案内所には1人以上の成年者である専任の取引主任者を置けばよい(宅建業法・15条1項,施行規則6条の2第2号)ので,誤り。

3 × 使用人等の秘密を守る義務

 宅建業者の使用人その他の従業者は,正当な理由がある場合でなければ,従業者でなくなった後も,業務を補助したことについて知り得た秘密を他に漏らしてはいけない(宅建業法・75条の2)

 正当な理由がある場合は漏らしてもよいので,誤り。

正当な理由・・・本人の同意,裁判での証言,取引の相手方が大きな不利益を蒙るとき等。

4 × 取引主任者証の返納

 取引主任者は,事務の禁止の処分を受けたときは,速やかに,取引主任者証を登録を受けた知事に提出しなければならず,禁止処分の期間が満了した場合,知事は,返還の請求があったときは直ちに取引主任者証を返還しなければならない(宅建業法・22条の2第7項,第8項)

 つまり,知事は,返還の請求がなければ取引主任者証を返還しなくてもよいので,誤り。

【問33】 宅地建物取引業者A (甲県知事免許) の営業保証金に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 は、甲県の区域内に新たに二つの支店を設け宅地建物取引業を営もうとする場合、額面金額1,000万円の地方債証券を供託して営業保証金に充てれば足りる。

2 家主は、居住用建物の賃貸の管理委託契約をと締結していたが、が借主から収受した家賃を約束期日が過ぎてもに支払わなかった。この場合、は、が供託した営業保証金からその債権の弁済を受ける権利を有する。

3 印刷業者は、が行う宅地建物の売買に関する広告の印刷依頼を受け、印刷物を作成し納品したが、に対しその代金を支払わなかった。この場合、は、が供託した営業保証金からその債権の弁済を受ける権利を有する。

4 は、買主に対し、土地付建物の売買契約を締結する前に、営業保証金を供託した主たる事務所のもよりの供託所及びその所在地について説明するようにしなければならない。

 正答率
 69.4%
【問33】 営業保証金

 基本的な出題である割には,正答率が低い。  

1 × 有価証券での供託

 2つの支店(その他の事務所)を設置したので,営業保証金は1,000万円を供託しなければならない(宅建業法施行令2条の4)

 営業保証金は有価証券でも供託できるが,すべての有価証券で額面金額そのままで評価されるのではない。
 本肢では,国債証券の場合は額面の金額が1,000万円なら供託できるが,地方債証券の場合は額面の90%で計算した額で供託しなければならないので,額面金額1,000万円の地方債証券では不足する(宅建業法25条3項,施行規則15条2項)

 したがって,誤りである。

 有価証券の額面の評価額

 国債証券  額面全額
 地方債証券
 政府保証債
 額面金額の90/100
 その他の債権  額面金額の80/100

2 × 営業保証金の還付

 営業保証金の還付対象は,宅建業者と宅建業に関して取引したことから生じる債権である(宅建業法27条1項)。賃貸物件の管理委託契約は宅建業に関する取引とはいえないので,は,が供託した営業保証金からその債権の弁済を受ける権利を有しない。したがって,誤りである。

3 × 営業保証金の還付 肢2と同工異曲

 宅地建物の売買に関する広告の印刷物の作成により生じた債権は,宅建業に関する取引とはいえないので,は,が供託した営業保証金からその債権の弁済を受ける権利を有しない。したがって,誤りである。

4 ○ 供託所等の説明

 宅建業者は,取引の相手方等に対して,契約が成立するまでの間に,営業保証金の供託所及びその所在地について説明をしなければならない(宅建業法35条の2第1号)ので,正しい。

宅地建物業保証協会の社員である場合にも,同様の規定がある(宅建業法35条の2)

【問34】 宅地建物取引業者Aが行う広告に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 は、宅地又は建物の売買、交換又は貸借に関する広告をするときは、取引様態の別を明示しなければならないが、取引の相手方に対し、取引様態の別が明らかである場合は明示する必要はない。

2 は、宅地造成工事規制区域内における宅地造成工事の許可が必要とされる場合において、当該宅地の売買に関する広告は、宅地造成等規制法第12条に規定する宅地造成工事の完了検査を受けた後でなければしてはならない。

3 は、建物の売買の広告に当たり、当該建物の形質について、実際のものよりも著しく優良であると人を誤認させる表示をした。当該建物に関する注文はなく、取引が成立しなかった場合であっても、は監督処分及び罰則の対象となる。

4 は、建物の貸借の媒介に当たり、依頼者の依頼に基づいて広告をした。は報酬とは別に、依頼者に対しその広告料金を請求することができない。

 正答率
 85.5%
【問34】 広告の小問集合

 広告に関する総集編的な基本問題。正答率も高い。

1 × 取引態様の明示

 宅建業者は,広告をするときは取引態様の別(当事者・媒介・代理の別)を明示し,注文を受けたときは,遅滞なく,取引態様の別を明示しなければならない(宅建業法34条)

 取引の相手方に対し,取引態様の別が明らかである場合であっても,取引態様の別を明示しなければならないので誤り。

 宅建業法では,どのような法律関係で宅建業者がその取引に関与するかによって,注文者等の利害も変わってくるので,取引態様の別を明示する義務を課している。

2 × 広告開始時期の制限

    許可    工事開始   工事完了  完了検査  検査済証の交付

 ――――――――――――――――――――――――――――

 宅建業者は,宅地の造成工事の完了前は,当該工事に必要とされる許可処分があった後でなければ,当該工事に係る宅地の売買その他の業務に関する広告をしてはならない(宅建業法33条)

 本肢では,宅地造成工事規制区域内における宅地造成工事の許可が必要とされる場合なので,その許可があった後であれば広告を行うことができる。

 本肢では<宅地造成工事の完了検査を受けた後でなければしてはならない。>としているので,誤りである。

3 ○ 誇大広告等の禁止

 誇大広告等の禁止(宅建業法32条)は,当該広告をしてもそれに関する注文がなく,取引が成立しなかった場合であっても,今後の取引の公正を確保するために,監督処分及び罰則の対象となるので,正しい。

誇大広告等の禁止に違反すると,監督処分は1年以内の業務禁止処分になることがある (情状が重いときは免許取消し)(宅建業法65条,66条)。罰則は6月以下の懲役もしくは100万円以下の罰則,又はその併科である(宅建業法81条)

4 × 規定によらない報酬の受領の禁止

 宅建業者が宅建業に関して受け取ることのできる報酬の額は国土交通大臣の定めるところにより,この額を超えて報酬を受けてはならない(宅建業法46条)

 依頼者の依頼に基づいて広告をした場合は,報酬とは別に,依頼者に対しその広告料金を請求することができるので,誤りである(平成16.2.18,国土交通省告示・第7第1項)

【問35】 宅地建物取引業者Aが自ら売主となって宅地建物の売買契約を締結した場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定に違反するものはどれか。
 なお、この問において、AとC以外の者は宅地建物取引業者ではないものとする。

1 の所有する宅地について、が売買契約を締結し、所有権の移転登記がなされる前に、に転売し、は更にに転売した。

2 の所有する土地付建物について、が賃借していたが、は当該土地付建物を停止条件付でに売却した。

3 の所有する宅地について、との売買契約の予約をし、は当該宅地をに転売した。

 I の所有する宅地について、と停止条件付で取得する売買契約を締結し、その条件が成就する前に当該物件についてと売買契約を締結した。

 正答率
 72.8%
【問35】 自ら売主制限−自己の所有に属しない売買契約の締結の制限

 自己の所有に属しない売買契約の締結の制限(他人物売買の制限)の問題である。
 現在の所有者から取得する契約を締結していても,その契約が停止条件付の契約で,かつ,条件の成就する前は,禁止されている
というのがポイント。

1 違反しない

  (宅建業者)― (宅建業者) ―

 への所有権移転登記がなされていなくても,との売買契約を締結しているので,に所有権は移転している。

 また,との売買契約が締結されていれば,に所有権は移っているので,が移転登記を経ていなくても,が非業者との売買契約を締結するのは,自己の所有に属しない売買契約締結の制限には違反しない。

2 違反しない

  (宅建業者) ― [は停止条件付でFに売却。]
  |
   (賃借人)

 宅建業者は,自己所有物件に賃借人がいる場合に当該物件を売却しても宅建業法に違反しない。

 また,停止条件付で売却しても,宅建業法上問題にはならない。

3 違反しない

   ――――――――― (宅建業者) ―― H [AはHに転売]
    売買契約の予約

 宅建業者が現在の所有者から取得する契約をしていれば,その契約は予約であっても,自己の所有に属しない売買契約締結の制限には違反しない(宅建業法33条の2)

4 違反する

   ――――――――― (宅建業者) ―― J [Aは条件成就前に売却]
    停止条件付売買

 宅建業者が現在の所有者から取得する契約をしていても,その契約が停止条件付であり,条件の成就する前であるときは,宅建業者でない者と売買契約を締結することはできない(宅建業法33条の2)

 したがって,本肢の場合,は,自己の所有に属しない売買契約締結の制限に違反する。

【問36】 宅地建物取引業者Aが、B所有の宅地の売却の媒介依頼を受け、Bと媒介契約を締結した場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法によれば、正しいものはいくつあるか。

 ア   の申出により、契約の有効期間を6月と定めた専任媒介契約を締結した場合、その契約はすべて無効である。
 イ  AB間で専属専任媒介契約を締結した場合、に対し、当該契約の業務の処理状況を2週間に1回以上報告しなければならない。
 ウ   AB間で専属専任媒介契約を締結した場合、は、が探索した相手方以外の者と売買契約を締結することができない。

1 一つ

2 二つ

3 三つ

4 なし

 正答率
 75.5%
【問36】 専任媒介契約・専属専任媒介契約

 個数問題であるが,問われているものは基本的な事項である。

 本問題では,問われていないが,指定流通機構への登録期間の違いにも注意しておきたい。専任媒介契約では媒介契約の締結の日から7日以内,専属専任媒介契約では契約締結日から5日以内。(休業日数は参入しない。)

 正解 ウのみが正しいので,正解は1。

ア 専任媒介契約・専属専任媒介契約の有効期間は3月を超えることはできず,これより長い期間を定めても,有効期間は3月になる(宅建業法34条の2第3項)

 つまり,3月より長い有効期間を定めたときは,3月を超える期間について無効であるのにとどまり,その媒介契約そのものがすべて無効になるわけではないので,誤り。

イ 業務処理状況の報告は,専任媒介契約では2週間に1回以上,専属専任媒介契約では1週間に1回以上となっている(宅建業法34条の2第8項)

 イでは,専属専任媒介契約を締結しているのに,業務の処理状況を2週間1回以上報告となっているので,誤りである。

ウ 専属専任媒介契約を締結した場合,依頼者は,他の宅建業者に重ねて依頼することはできず,また依頼した宅建業者が探索した相手方以外の者と売買契約を締結することができないので正しい(宅建業法34条の2第8項,施行規則15条の7第2項)

専任媒介契約では,他の宅建業者に重ねて依頼することはできないが,自己発見取引は禁止されていない。⇒ 専任媒介契約では,他の宅建業者が探索した相手方でなければ,依頼した宅建業者が探索した相手方以外の者とも契約を締結できる。

【問37】 宅地建物取引業者が行う宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項の説明に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 宅地の売買の媒介において、当該宅地に係る移転登記の申請の予定時期については、説明しなくてもよい。

2 宅地の売買の媒介において、当該宅地が造成に関する工事の完了前のものであるときは、その完了時における形状、構造並びに宅地に接する道路の構造及び幅員を説明しなければならない。

3 宅地の売買の媒介において、天災その他不可抗力による損害の負担を定めようする場合は、その内容を説明しなければならない。

4 宅地の貸借の媒介において、借地借家法第22条で定める定期借地権を設定しようとするときは、その旨を説明しなければならない。

 正答率
 63.1%
【問37】 重要事項説明

 35条の重要事項か,37条書面の記載事項であるのか問う問題は定番である。このなかでは,37条書面の記載事項にあって35条の重要事項にないものがよく狙われる。

1 ○ 移転登記の申請の時期 ⇒ 37条書面

 移転登記の申請の時期は契約成立後の37条書面の記載事項である(宅建業法37条1項5号)

 契約成立前では,移転登記の申請の時期は確定していないからである。

このほか,37条書面では,宅地又は建物の引渡しの時期について記載することになっているが,重要事項で説明すべき事項には該当するものはない。

2 ○ 完了時における形状、構造並びに宅地に接する道路の構造及び幅員

 工事完了前のものであるときは,完了時における形状,構造その他国土交通省令で定める事項を,図面を必要とするときは図面を交付して取引主任者に説明させなければならない。(宅建業法35条1項5号,施行規則16条)

 国土交通省令で定める事項は,宅地の場合は完了時の宅地に接する道路の構造及び幅員,建物の場合は完了時の当該建物の主要構造部,内装及び外装の構造又は仕上げ並びに設備の設置及び構造である(施行規則16条)

3 × 天災その他不可抗力による損害の負担 ⇒ 37条書面

  天災その他不可抗力による損害の負担の定めがあるときは,その内容を,契約成立後の37条書面に記載しなければならない(宅建業法37条1項10号)

 重要事項で説明すべきものには該当しないので,誤りである。

このほか,37条書面では,瑕疵担保責任についての定めがあるときはその内容を記載することになっているが,重要事項で説明すべき事項では該当するものはない。

◆補充

 35条書面  契約の解除に関する事項
 37条書面  契約の解除に関する定めがあるときは,その内容

 35条書面  損害賠償の予定又は違約金に関する事項
 37条書面  損害賠償の予定又は違約金に関する定めがあるときは,その内容

4 ○ 定期借地権である旨

 宅地の貸借の媒介・代理において,定期借地権 (借地借家法第22条) を設定しようとするときは,その旨を説明しなければならない(宅建業法35条1項14号,施行規則16条の4の3第8号)

建物の賃借の媒介・代理において,定期建物賃貸借 (借地借家法第38条第1項), 60歳以上の高齢者を対象とする終身建物賃貸借 (高齢者の居住の安定確保に関する法律第56条) を設定しようとするときは,その旨を説明しなければならない(宅建業法35条1項14号,施行規則16条の4の3第8号)

【問38】 宅地建物取引業者がマンションの一室の貸借の媒介を行う場合、宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項の説明に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。

1 当該マンションの管理が委託されているときは、その委託を受けている者の氏名 (法人にあっては、その商号又は名称)、住所 (法人にあっては、その主たる事務所の所在地) 及び委託された業務の内容を説明しなければならない。

2 建築基準法に規定する容積率及び建ぺい率に関する制限があるときは、その制限内容を説明しなければならない。

3 建物の区分所有法等に関する法律第2条第3項に規定する専有部分の用途その他の利用の制限に関する規約の定めがあるときは、その内容を説明しなければならない。

4 敷金の授受の定めがあるときは、その敷金の額、契約終了時の敷金の精算に関する事項及び金銭の保管方法を説明しなければならない。

 正答率
 64.0%
【問38】 マンションの賃貸借の媒介での重要事項説明

 マンションの賃貸特有の重要事項とは,管理の委託先・規約の内容の2つしかない。また,貸借特有の重要事項にも注意する必要がある。

1 × 管理の委託先

 マンションの一室の貸借の媒介・代理を行う場合,当該マンションの管理が委託されているときは,その委託を受けている者の氏名 (法人の場合は,その商号又は名称),住所 (法人の場合は,その主たる事務所の所在地) を説明しなければならない(宅建業法35条1項6号,施行規則16条の2第8号)

 国土交通省の『宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方』では,管理委託契約の主たる内容もあわせて説明することが望ましいとしているが,宅建業法では委託された業務の内容を説明することは義務づけられていないので,誤りである。

2 × 法令に基づく制限で政令で定めるもの ⇒ 貸借の媒介・代理では少ない

  建物の貸借の契約以外の契約では,重要事項で説明すべき法令に基づく制限で政令で定めるものの中には建築基準法に規定する容積率及び建ぺい率の制限が規定されている(宅建業法35条1項2号,施行令3条1項2号)が,建物の貸借の契約の媒介・代理では説明すべきものとはされていない。

 したがって,誤りである。

3 ○ 専有部分の用途その他の利用の制限に関する規約の定め

 区分所有法では,占有者 (専有部分の賃借人等) も建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならず(区分所有法6条3項),建物又はその敷地若しくは附属施設の使用方法につき,区分所有者が規約又は集会の決議に基づいて負う義務と同一の義務を負う(区分所有法46条2項)

 したがって,占有者にも規約や集会の決議について遵守する義務があり,専有部分の用途その他の利用の制限に関する規約の定めがあるときは,その内容を説明しなければならない(宅建業法35条1項5号の2,施行規則16条の2第3号)

4 × 敷金

 宅地又は建物の貸借の契約の媒介・代理では,契約終了時において精算することとされている金額の精算に関する事項を重要事項で説明しなければならないが(宅建業法35条1項14号,施行規則16条の4の3第10号)その金銭の保管方法については重要事項で説明すべきものとはされていないので,誤り。

【問39】 売主A、買主Bの間の宅地の売買について宅地建物取引業者Cが媒介をした場合の次の記述のうち、宅地建物取引業法 (以下この問いにおいて 「法」 という。) に違反しないものはどれか。

1 は、取引主任者をして法第35条に基づく重要事項の説明 (以下この問において 「重要事項」 という。) を行わせたが、の同意があったため、法第37条の規定に基づく契約内容を記載した書面 (以下この問において 「契約書面」 という。) を交付しなかった。

2 の従業者である取引主任者がに対して重要事項説明を行う際に、から請求がなかったので、宅地建物取引主任者証を提示せず重要事項説明を行った。

3 は、の契約が成立したので、取引主任者に記名押印させ、に対して契約書面を交付したが、両者に対して書面に記載された事項を説明しなかった。

4 どちらからも、早く契約したいとの意思表示があったため、は契約締結後に重要事項説明をする旨の了解を得た後に契約を締結させ、契約書面を交付した。

 正答率
 78.1%
【問39】 重要事項説明・取引主任者証の提示・37条書面

 全肢とも頻出問題。37条書面では説明までは義務化されていないことが本問題のポイント。

1 違反する 37条書面の交付義務

 契約書面 (37条書面) は,当事者間の契約内容をめぐる紛争を回避するために契約内容の明確化を図る趣旨で交付義務としているものである(宅建業法37条1項,2項)

 売主と買主の同意があったからといって,媒介の業者が交付しなくてもよいことにはならないので,は宅建業法に違反する。

37条書面の交付義務に違反すると,監督処分としては1年以内の業務停止処分 (情状が重いときは免許取消し)(宅建業法65条2項2号),罰則は30万円以下の罰金(宅建業法83条2項)

2 違反する 取引主任者証の提示義務

 取引主任者は,相手方等から請求がなくても,重要事項説明時には,取引主任者証を提示しなければならない(宅建業法35条3項)

3 違反しない 37条書面の交付において,説明義務はない

 宅建業者は,37条書面の交付義務があるが,義務付けられているのは取引主任者に記名押印させて交付するだけであり,説明することまでは義務付けられていないので,宅建業法には違反しない(宅建業法37条)

4 違反する 重要事項説明は,契約が成立するまでの間に行う。

 重要事項説明は,契約が成立するまでの間にしなければならない(宅建業法35条1項)

 買主や売主の了解を得たとしても,契約成立後に重要事項説明をするのは,宅建業法に違反する。

【問40】 宅地建物取引業法 (以下この問において「法」という。) 第37条の規定に基づく契約を証する書面 (以下この問において 「契約書面」 という。) に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 居住用建物の賃貸借契約において、貸主と借主にそれぞれ別の宅地建物取引業者が媒介するときは、どちらか一方の宅地建物取引業者が契約書面を作成したとしても、契約書面の交付については双方の宅地建物取引業者がその義務を負う。

2 宅地建物取引業者が土地売買における売主の代理として契約書面を作成するに当たっては、専任でない取引主任者が記名押印してもよい。

3 居住用建物の賃貸借契約において、貸主には代理の宅地建物取引業者が、借主には媒介の宅地建物取引業者がおり、が契約書面を作成したときは、借主及びに契約書面を交付すればよい。

4 貸主である宅地建物取引業者が、宅地建物取引業者の媒介により借主と事業用建物の賃貸借契約を締結するに当たって、が作成・交付した契約書面に法第37条違反があった。この場合、のみが監督処分及び罰則の対象となる。

 正答率
 40.7%
【問40】 37条書面 (貸借の媒介・代理)

 複数の宅建業者が媒介・代理している場合や,宅建業者が当事者である場合の重要事項説明や37条書面の交付については,過去問に出題歴があるにもかかわらず,市販の基本書ではその説明がない場合がある。

 出題者は,そのへんの事情をつぶさに調べ上げた上で,出題していると見られる。自己採点集計での正答率の低さは,出題者の狙いが的中したことを物語る。

1 ○ 各当事者に別々の宅建業者が媒介しているとき

 賃貸借契約で貸主・借主双方に別々の宅建業者が媒介・代理した場合でも,媒介・代理をした宅建業者の全てに,貸主・借主の双方に37条書面 (契約書面) を交付する義務があるので正しい(宅建業法37条2項)

 複数の宅建業者が媒介・代理したときは,実務上は,本肢のように,どちらか一方の宅建業者が契約書面を作成して,双方の取引主任者が記名押印することが多い。(重要事項説明でも同様である。)

2 ○ 取引主任者の記名押印

 37条書面に記名押印するのは,取引主任者であれば,成年者である専任の取引主任者でなくてもよいので,正しい(宅建業法37条3項)

3 × 各当事者に別々の宅建業者が媒介しているとき

 肢1で見たように,賃貸借契約で貸主・借主双方に別々の宅建業者が媒介・代理した場合でも,媒介・代理をした宅建業者の全てに,貸主・借主の双方に37条書面 (契約書面) を交付する義務がある(宅建業法37条2項)

 本肢では,宅建業者だけに交付義務があるのではなく,宅建業者とも,貸主・借主の双方に交付する義務があるので,誤りである。

4 ○ 貸借の当事者である宅建業者には37条書面の交付義務はない

 貸主である宅建業者が,宅建業者の媒介により借主と事業用建物の賃貸借契約を締結した場合において,37条書面の交付義務があるのはのみである(宅建業法37条2項)

 宅建業者が売買や交換で契約の当事者である場合には,他の宅建業者に媒介・代理を依頼していたとしても,相手方に対して37条書面を交付する義務があるが,宅建業者が貸借の当事者である場合には,相手方に対して37条書面を交付する義務はない。

 したがって,本肢において,媒介した宅建業者が作成・交付した契約書面に法第37条違反があった場合は,のみが監督処分及び罰則の対象となるので正しい。

【問41】 宅地建物取引業者Aが自ら売主として宅地建物取引業者でない買主Bと土地付建物の売買契約を締結した場合における、宅地建物取引業法 (以下この問において 「法」 という。) 第37条の2の規定による売買契約の解除に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

1 のモデルルームにおいて買受けの申込みをし、の自宅周辺の喫茶店で売買契約を締結した場合は、は売買契約を解除することができない。

2 の事務所において買受けの申込をした場合は、売買契約を締結した場所がの事務所であるか否かにかかわらず、は売買契約を解除することができない。

3 がホテルのロビーにおいて買受けの申込をし、当該場所において売買契約を締結した場合、既に当該土地付建物の引渡しを受け、かつ、代金の全部を支払った場合でも、が法第37条の2に規定する内容について書面で説明していないときは、は当該契約を解除することができる。

4 がレストランにおいて買受けの申込をし、当該場所において売買契約を締結した場合、が法第37条の2に規定する内容について書面で説明し、その説明の日から起算して8日を経過した場合は、は当該契約を解除することができない。

 正答率
 71.2%
【問41】 自ら売主制限−クーリングオフの可否

 クーリングオフの可否は定番。本問題では,以下の三つを押さえておけば得点できる。

 (1) 買受けの申込場所と契約締結の場所が異なっている場合は,買受けの申込場所で判断する。買受けの申込場所が事務所等に該当すれば,クーリングオフはできない。

 (2) 引渡しを受け,かつ,代金全額を支払った場合は,クーリングオフはできない。

 (3) クーリングオフできる旨を書面の交付を受けて告げられた日から起算して8日を経過したときは,してクーリングオフはできない。

1 ○ 事務所等で買受けの申込をした場合

 モデルルームは事務所等に該当する。モデルルームで買受けの申込をしたときは,クーリングオフをすることはできないので,正しい(宅建業法37条の2第1項,施行規則16条の5第1項ロ)

 買受けの申込場所  契約締結の場所
 モデルルーム

 ⇒ 事務所等

 自宅周辺の喫茶店

 ⇒ 事務所等以外

2 ○ 事務所等で買受けの申込をした場合

 事務所において買受けの申込をした場合は,売買契約を締結した場所が事務所等に該当するか否かにかかわらず,クーリングオフをすることはできないので,正しい(宅建業法37条の2第1項)

 買受けの申込場所  契約締結の場所
 の事務所

 ⇒ 事務所等

 明記なし

3 × 引渡しを受け,かつ,代金の全部を支払った場合

 引渡しを受け,かつ,代金の全部を支払った場合は,買受けの申込をした場所が事務所等に該当するかどうかに関係なく,クーリングオフをすることはできないので,誤り(宅建業法37条の2第1項第2号)

 買受けの申込場所  契約締結の場所
 ホテルのロビー

 ⇒ 事務所等以外

 ホテルのロビー

 ⇒ 事務所等以外

 既に当該土地付建物の引渡しを受け、かつ、代金の全部を支払った

4 ○ 説明の日から起算して8日を経過した場合

 宅建業者(自ら売主,自ら売主の宅建業者から媒介・代理を依頼された宅建業者)は,国土交通省令で定められた事項を記載した書面を交付して,申込者等にクーリングオフの説明をしなければならない(宅建業法37条の2第1項,施行規則16条の6)

 クーリングオフの説明を受けた日から起算して8日を経過した場合は,買受けの申込をした場所が事務所等に該当するかどうかに関係なく,クーリングオフをすることはできないので,正しい(宅建業法37条の2第1項第1号)

 買受けの申込場所  契約締結の場所
 レストラン

  ⇒ 事務所等以外

  レストラン

  ⇒ 事務所等以外

 クーリングオフの説明を受けた日から起算して8日を経過した

申込者等がクーリングオフするときには書面により行い,その書面を発したときに,クーリングオフの効力が生ずる (発信主義) が,その書面や記載事項については特に規定はない(宅建業法37条の2第1項,第2項)

【問42】 宅地建物取引業者Aが自ら売主として、宅地建物取引業者でないBに宅地 (造成工事完了済み) を分譲する場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定に違反しないものはどれか。なお、当該宅地の分譲価額は4,000万円とする。

1 は、手付金として400万円をから受領したが、保全措置を講じなかった。

2 は、手付金100万円をから受領した後、中間金として600万円を受領したが、中間金600万円についてのみ保全措置を講じた。

3 は、「瑕疵担保責任を負うべき期間は、当該物件の売買契約を締結してから2年間とする」旨の特約を定めた。

4 は、「宅地に隠れた瑕疵があった場合でも、その瑕疵がの責めに帰すものでないときは、は担保責任を負わない」旨の特約を定めた。

 正答率
 61.9%
【問42】 自ら売主の制限−手付金等の保全措置(完成物件)・瑕疵担保責任の特約

 手付金等の保全措置・瑕疵担保責任の特約については頻出問題である。論点もほぼ出尽くされている感があり,失点してはいけない。

 自ら売主の8種制限は宅建業者間の取引では適用されないことも確認しておきたい。

1 違反しない 完成物件での手付金等の保全措置

 自ら売主の宅建業者は,宅建業者ではない者との売買契約の締結に際して,代金の20%を超える額の手附を受領することはできない(宅建業法39条1項)

 また,自ら売主の宅建業者は,宅建業者ではない者との完成物件の売買契約の締結に際して,手付金等が代金の代金の10%以下,かつ,1,000万円以下であるときは,手付金等の保全措置を講じる必要はない(宅建業法41条の2第1項,施行令3条の2)

自ら売主の宅建業者は,宅建業者ではない者との完成物件の売買契約の締結に際して,手付金等が代金の代金の10%超,又は,1,000万円超であるときは,手付金等の保全措置を講じなければならない(宅建業法41条の2第1項,施行令3条の2)

2 違反する 手付金等の定義

 手付金等には,手付金のほか,中間金等も含む。

 本肢では,保全措置が必要かどうかについては,手付金100万円+中間金600万円の合計700万円で考えなければならない。

 分譲価額は4,000万円で,700万円は完成物件で保全措置の必要な10%を超えているので,中間金600万円を受領する前に,保全措置を講じなければならない。

 したがって,は,保全措置を講じなければ,宅建業法に違反する。

3 違反する 瑕疵担保責任の特約の制限

 自ら売主の宅建業者は,宅建業者ではない者との売買契約の締結に際して,瑕疵担保責任の行使期間を<引渡しの日から2年以上>とする特約をすることができるが,<売買契約を締結してから2年間>とする」旨の特約を定めても無効なので,は,宅建業法に違反する(宅建業法40条1項,2項)

瑕疵担保責任の行使期間を<引渡しの日から2年以上>とするよりも,買主に不利な特約を定めた場合は,民法の原則に立ち返り,買主が瑕疵の事実を知ったときから1年以内に,買主は契約の解除又は損害賠償の請求をすることができることになる(民法570条,566条2項)

 ただし,判例によれば,瑕疵担保による損害賠償請求権にも消滅時効の適用があり,引渡しを受けたときから10年を経過すると消滅時効にかかり,瑕疵担保による損害賠償を請求することはできなくなる(平成13.11.27)

4 違反する

 判例では,瑕疵担保責任は売主の無過失責任であり,民法上では売主の担保責任は任意規定であっても,宅建業法上は売主が瑕疵担保責任を免れることはできない。

 つまり,<その瑕疵が売主の帰責事由によるものではないときは,は担保責任を負わない>旨の特約は,宅建業法での規定よりも不利な特約となり,その特約は無効となる(宅建業法40条1項,2項)。この場合,瑕疵の事実を知ったときから1年以内に,買主は契約の解除又は損害賠償の請求をすることができることになる。⇒肢3参照。

 したがって,は,宅建業法に違反する。

【問43】 宅地建物取引業者Aが自ら売主としてマンション (販売価額 3,000万円) の売買契約を締結した場合における次の記述のうち、民法及び宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 は、宅地建物取引業者であるとの売買契約の締結に際して、当事者の債務不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の予定額を1,200万円とする特約を定めた。この特約は無効である。

2 は、宅地建物取引業者でないとの売買契約の締結に際して、当事者の債務不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の予定額を1,200万円とする特約を定めることができる。

3 は、宅地建物取引業者であるとの売買契約の締結に際して、当事者の債務不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の予定額の定めをしなかった場合、実際に生じた損害額1,000万円を立証により請求することができる。

4  は、宅地建物取引業者でないとの売買契約の締結に際して、当事者の債務不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の予定額を600万円、それとは別に違約金を600万円とする特約を定めた。これらの特約はすべて無効である。

 正答率
 80.5%
【問43】 自ら売主制限−損害賠償額の予定等の制限

 肢3の<損害賠償の予定額を定めなかったときは,代金の額の20%以内という制限は適用されない>ことは過去問でも出題がある。その他の肢も頻出である。

1 × 宅建業者間の取引では,自ら売主の8種制限は適用されない

 1,200万円は販売価額 3,000万円の40%である。

 自ら売主の宅建業者は,宅建業者ではない者との売買契約の締結に際して,代金の額の20%を超える損害賠償の予定額を定めることはできない(宅建業法38条1項)

 しかし,買主が宅建業者である場合には,損害賠償額の予定等の制限は適用されないので,本肢は誤りである(宅建業法78条2項)

2 × 代金の20%を超える損害賠償の予定額を定めることはできない

 1,200万円は販売価額 3,000万円の40%である。

 自ら売主の宅建業者は,宅建業者ではない者との売買契約の締結に際して,代金の額の20%を超える損害賠償の予定額を定めることはできない(宅建業法38条1項)ので,本肢は誤りである。

3 ○ 損害賠償の予定額の定めをしなかった場合

  1,000万円は販売価額 3,000万円の約33%である。

 自ら売主の宅建業者は,宅建業者ではない者との売買契約の締結に際して,損害賠償の予定額を定める場合には代金の額の20%以内という制限がある(宅建業法38条1項)

  しかし,は宅建業者なので,この制限は適用されない。は,実際に生じた損害額1,000万円を立証により請求することができるので,正しい。

が宅建業者ではない場合

 宅建業法では,損害賠償の予定額の定めをしなかった場合に損害賠償金や違約金として受け取ることのできる金額に制限はないので,が宅建業者ではない場合は,代金の額の20%以内という制限は適用されない

4 × 代金の額の20%を超える部分が無効になる

 損害賠償額の予定等の制限は,損害賠償の予定額とは別に違約金を定める場合にも適用され,その場合は合計金額で判断する(宅建業法38条1項)

 合計額が代金の額の20%を超える場合は,代金の額の20%を超える部分が無効になる(宅建業法38条2項)

 損害賠償の予定額600万円,違約金600万では合計で代金の額の40%になり,代金の額の20%を超える部分(800万円を超える部分である400万円)のみが無効になるので,本肢は誤りである。

【問44】 宅地建物取引業者A (消費税納税事業者) が、B所有の居住用建物について、媒介により貸主Bと借主Cとの賃貸借契約を成立させた場合について、Aが受けることのできる報酬額について、誤っているものはどれか。
 なお、建物の1月分の借賃は9万円とする。

1 は、の承諾を得たときは、から94,500円、から94,500円を受領できる。

2 は、の承諾を得たときは、のみから94,500円を受領できる。

3 は、から47,250円、から47,250円を受領できる。

4 は、の承諾を得たときは、から70,000円、から24,500円を受領できる。

 正答率
 82.2%
【問44】 建物の貸借の媒介の報酬 

 宅建業者 (消費税納税事業者) が居住用建物の貸借の媒介について依頼者の双方から受け取ることのできる報酬は,貸主・借主からの合計で1月分の1.05倍以内である。(本問題では,94,500円。)

 また,居住用建物の貸借の媒介では,依頼者の一方から受け取ることのできる報酬は1月分の0.525倍以内である。(94,500円の半分なので,47,250円。) ⇒ 承諾を得れば,一方のみからこの金額を超えて報酬を受け取ることができる。その場合でも,1月分の1.05倍以内でなければならない。

 4肢とも,この2つに適合しているか,判断すればよい(平成16.2.18,国土交通省告示・第4)。

 −  居住用建物  非居住用建物  宅地
 (i) 依頼者の双方から受け取ることができる報酬
 は,当該物件の借賃の1月分の1.05倍以内

 (また,居住用建物の貸借の場合
 依頼者の一方から受け取ることができる報酬
 は,承諾を得ている場合を除いて,
 借賃の1月分の0.525倍以内。)

   権利金の授受があるときは
  (i),(ii)の選択
(ii) 権利金の授受がある場合,当該権利金の額を
 売買に係る代金の額とみなして,売買に関する
 報酬の規定を適用できる。
 ×

1 × 双方からの報酬の合計は1月分の1.05倍以内

 貸主・借主双方の承諾を得たとしても,双方からの報酬の合計は1月分の1.05倍以内である94,500円を超えることはできないので,誤り。

2 ○ 承諾を得たときは,一方のみから1月分の1.05倍以内の報酬を受領できる

 貸主の承諾を得たときは,のみから1月分の0.525倍を超え,1月分の1.05倍以内である94,500円を報酬として受領できるので正しい。

3 ○ 賃貸借の媒介での原則的な報酬 

 双方からの報酬の合計は1月分の1.05倍以内であり,一方からの報酬も1月分の0.525倍以内なので,正しい。 

4 ○ 一方から1月分の0.525倍を超える報酬を受け取るには承諾が必要

 貸主の承諾を得たときは,から1月分の0.525倍を超える70,000円を報酬として受領できる。また,貸主,借主双方からの報酬の合計でも1月分の1.05倍以内になっているので,正しい。

【問45】 宅地建物取引業者Aが宅地建物取引業保証協会 (以下この問において 「保証協会」 という。) に加入した場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。

1 が保証協会に加入する前に、と宅地建物取引業に関し取引をした者は、弁済業務保証金について弁済を受けることができない。

2 は保証協会に加入した後に新たに事務所を開設したときは、その日から2週間以内に、営業保証金500万円を主たる事務所のもよりの供託所に供託しなければならない。

3 がその一部の事務所を廃止したため、保証協会が弁済業務保証金分担金をに返還しようとするときは、保証協会は、弁済業務保証金の還付請求権者に対し、一定期間内に認証を受けるため申し出るべき旨の公告を行う必要はない。

4 が、保証協会から弁済業務保証金の還付に係る還付充当金を納付すべき旨の通知を受けた日から2週間以内に、通知された額の還付充当金を保証協会に納付しない場合、保証協会は納付すべき旨の催告をしなければならず、催告が到達した日から1月以内にが納付しない場合は、は社員としての地位を失う。

 正答率
 69.7%
【問45】 宅地建物取引業保証協会

 肢4に戸惑うかもしれないが,そのほかの肢は頻出問題なので,正解肢に達することは容易である。

1 × 保証協会に加入する前に,宅建業に関し取引をした者

 保証協会に加入する前に,宅建業に関し取引をした者も,弁済業務保証金について弁済を受けることができるので誤り(宅建業法64条の3第1項第3号)

2 × 支店を開設したときは,弁済業務保証金分担金は一箇所につき30万円

 保証協会に加入した後に新たに事務所 (いわゆる支店) を開設したときは,その日から2週間以内に,一箇所につき弁済業務保証金分担金30万円を保証協会に納付すればよく(宅建業法64条の9第2項,施行令7条),営業保証金500万円を供託所に供託する必要はないので誤り(宅建業法64条の13)

3 ○ 社員が支店を廃止したときには公告をする必要はない

 宅建業者が一部の事務所を廃止しために弁済業務保証金分担金を返還する場合には,保証協会は,弁済業務保証金の還付請求権者に対して,一定期間内に認証を受けるため申し出るべき旨の公告をする必要はないので,正しい(宅建業法64条の11第1項,第2項)

 保証協会が,弁済業務保証金の還付請求権者に対して,一定期間内に認証を受けるため申し出るべき旨の公告をしなければならないのは,保証協会の社員が社員の地位を失ったときである(宅建業法64条の11第4項)

4 × 保証協会は,還付充当金を納付すべき旨の通知をした後に催告をする必要はない

 宅建業者は,保証協会から還付充当金を納付すべき旨の通知を受けた日から2週間以内に,通知された額の還付充当金を保証協会に納付しないときは,社員としての地位を失う(宅建業法64条の10第1項〜第3項)

 保証協会は,宅建業者が通知を受けた日から2週間以内に,通知された額の還付充当金を保証協会に納付しないときに,催告をしなければならないという規定はないので,誤り。

宅建業者は,社員としての地位を失った日から1週間以内に営業保証金を供託しなければならず,供託したときは,供託書の写しを添附して,供託した旨を免許権者に届け出なければならない(宅建業法64条の15,25条4項)


【正解】

30 31 32 33 34

35 36 37 38 39

40 41 42 43 44 45


●平成17年度・宅建試験・解説要約版 
権利変動(問1〜問16)法令制限(問17〜問25),宅建業法(問30〜問45),税法その他(問26〜問29/問46〜問50)宅建過去問'05のトップに戻る

宅建業法の過去問アーカイブスに戻る

HOMEに戻る サイトマップに戻る 宅建過去問のTOPに戻る

閉じる