宅建業法 実戦篇

重要事項の説明の過去問アーカイブス 昭和60年・問41


宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項の説明義務等に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。(昭和60年・問41)

1.「宅地建物取引業者は,重要事項を記載した書面を,宅地建物取引業法第37条に規定する契約成立時に交付すべき書面と同時に交付し,取引主任者をして説明させてもよい。」

2.「取引主任者は,重要事項の説明をするときは,相手方から請求があった場合に限り,取引主任者証を提示すればよい。」

3.「取引主任者でない代表者が,重要事項を記載して書面を交付して説明を行った場合は,取引主任者をして改めて重要事項を記載した書面を交付して説明させる必要はない。」

4.「売主・買主ともに宅地建物取引業者である場合でも,売主は買主に対して重要事項説明をしなければならない。」

【正解】

× × ×

1.「宅地建物取引業者は,重要事項を記載した書面を,宅地建物取引業法第37条に規定する契約成立時に交付すべき書面と同時に交付し,取引主任者をして説明させてもよい。」

【正解:×

◆35条書面と37条書面の交付時期

 <35条書面は契約成立する前>,<37条書面は契約成立後遅滞なく>,交付することになっているので,その2つを同時に交付することはできません。

  いつ交付するのか 誰が交付するか
重要事項を
記載した書面

(取引主任者が記名押印)

契約の成立する前に交付 取引主任者が説明し,

交付しなければならない。

契約成立時に
交付すべき書面

(取引主任者が記名押印)

契約成立後,遅滞なく,交付 取引主任者が

説明交付しなくてもよい。

2.「取引主任者は,重要事項の説明をするときは,相手方から請求があった場合に限り,取引主任者証を提示すればよい。」

【正解:×

取引主任者証の提示

 取引主任者証は,以下の場合に提示することが義務付けられています。

(i) 重要事項の説明のとき (相手方等から請求がなくても提示する。)(宅建業法・35条4項)

(ii) 重要事項の説明のとき以外では,取引の関係者から請求があったとき(宅建業法・22条の4)

 重要事項の説明をする際は,相手方から請求がなくても,宅地建物取引主任者証を提示しなければなりません。(宅建業法・35条4項)

 KEY 

 (i) 重要事項の説明のときの主任者証の提示

   ⇒ 違反すると 罰則 10万円以下の過料

 (ii) 取引の関係者から請求があったときの提示

   ⇒ 違反しても 罰則は特に定められていない

3.「取引主任者でない代表者が,重要事項を記載して書面を交付して説明を行った場合は,取引主任者をして改めて重要事項を記載した書面を交付して説明させる必要はない。」

【正解:×

◆重要事項の説明は,取引主任者にさせなければならない

 宅建業者は,取引主任者に35条の重要事項の書面の交付・説明をさせなければならないので,取引主任者でない代表者が記載した書面を交付して説明したとしても,重要事項説明をしたことにはなりません。

 本肢では,代表者の説明後に,改めて,取引主任者をして重要事項を記載した書面を交付して説明させなければいけません。

 KEY 

 35条の重要事項は,35条書面に記載し,契約締結前に,
 取引主任者をして,その書面を交付して説明させなければならない。
 (過失による場合も免責されない。)
                ↓
            口頭のみではダメ

 監督処分  指示処分

        1年以内の業務停止処分(全部又は一部)

        情状が特に重いときや業務停止処分に違反したときは
        免許取消処分

4.「売主・買主ともに宅地建物取引業者である場合でも,売主は買主に対して重要事項説明をしなければならない。」

【正解:

◆業者間の取引でも省略できない

 宅建業者間の取引でも,重要事項の説明は省略することはできません。

宅建業者間の取引で宅建業法の規定が適用されないのは,自ら売主の8種制限だけです。


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