法令上の制限 実戦篇

諸法令の過去問アーカイブス 昭和58年・問28


次の記述のうち,誤っているものはどれか。(昭和58年・問28)

1.「地域森林計画の対象となっている民有林において開発行為をしようとする者は,原則として都道府県知事の許可を受けなければならない。」

2.「特別緑地保全地区内において建築物の新築を行おうとする者は,原則として都道府県知事等の許可を受けなければならない。」

3.「市街地再開発促進区域内において容易に移転することができる木造平屋建の建築物の建築をしようとする者は,原則として都道府県知事(市の区域内では市長)の許可を受けなければならない。」

4.「重要文化財に関しその現状を変更しようとする者は,原則として都道府県知事の許可を受けなければならない。」

【正解】

×

1.「地域森林計画の対象となっている民有林において開発行為をしようとする者は,原則として都道府県知事の許可を受けなければならない。」

【正解:保安林・昭和56年問29,57年,62年,民有林・昭和56年問28,60年,

◆地域森林計画の対象となっている民有林の開発許可

 地域森林計画の対象となっている民有林では,原則として,以下のようになっています。

・立木の伐採をする → 事前に市町村長に届出 (森林法・10条の8第1項)

・開発行為(1 ha を超える) → 都道府県知事の許可が必要 (森林法・10条の2第4項)

■開発行為 土石又は樹根の採掘,開墾その他の土地の形質を変更する行為で,森林の土地の自然的条件,その行為の態様等を勘案して政令で定める規模(1 ha)を超えるもの (森林法・10条の2第1項,施行令・2条の3)

【出題歴】開発行為 (開発規模=昭和56年問28,許可権者=58年,60年)

 ⇒ 森林法 

2.「特別緑地保全地区内において建築物の新築を行おうとする者は,原則として都道府県知事等の許可を受けなければならない。」

【正解:平成元年,12年,14年

◆特別緑地保全地区

 特別緑地保全地区(旧・都市緑地保全法の緑地保全地区)は,都市計画区域内の緑地で一定の土地の区域に,都市計画で定めます。(都市緑地法・12条1項)

 特別緑地保全地区(旧・都市緑地保全法の緑地保全地区)内での以下の行為は,都道府県知事等(市の区域内では市長)の許可が必要です。(14条1項)

建築物その他の工作物の新築、改築又は増築 (昭和58年,平成14年)
宅地の造成、土地の開墾、土石の採取、鉱物の堀採その他の土地の形質の変更 (平成元年,12年)
・木竹の伐採
・水面の埋立て又は干拓
・このほかのもので、当該緑地の保全に影響を及ぼす恐れのある行為で
政令で定めるもの

☆政令で定めるものの例
 屋外における土石、廃棄物または再生資源の堆積(施行令2条の2)平成13年法改正により追加

このほか,「緑地協定」,「管理協定」にも注意。→ 法改正レポートNo.4

 ⇒ 都市緑地法 

●類題
「特別緑地保全地区は,市街化区域,市街化調整区域のいずれにも定めることができる。」(不動産鑑定士・2次・平成13年改)

【正解:】生産緑地地区は「市街化区域」のみですが,特別緑地保全地区は都市計画区域内に定めることができます。

●各制限の許可権者
生産緑地地区
(生産緑地法)
この区域は、都市計画で定める
(市街化区域内の一定の農地等に定める)
市町村長の許可
特別緑地保全地区
(都市緑地法)
この区域は、都市計画で定める
(都市計画区域内の一定の緑地に定める)
都道府県知事等の許可

●許可と届出の区別
緑地保全地域
(都市緑地法)
この区域は、都市計画で定める
(都市計画区域または準都市計画区域内
の一定の緑地に定める)
都道府県知事等届出
特別緑地保全地区
(都市緑地法)
この区域は、都市計画で定める
(都市計画区域内の一定の緑地に定める)
都道府県知事等許可

3.「市街地再開発促進区域内において容易に移転することができる木造平屋建の建築物の建築をしようとする者は,原則として都道府県知事(市の区域内では市長)の許可を受けなければならない。」

【正解:昭和58年・問28,昭和62年・問28,平成16年・問25,第一種市街地再開発事業・昭和63年

◆市街地再開発促進区域での建築制限

 市街地再開発促進区域内では,<主要構造部が木造,鉄骨造,コンクリートブロック造その他これらに類する構造であって階数が二以下で,かつ,地階を有しない建築物で,容易に移転し,又は除却することができるもの>の建築をしようとする者は,都道府県知事(市の区域内では市長)の許可を受けなければならない。
 ただし,非常災害のため必要な応急措置として行う行為又はその他の政令で定める軽易な行為については,この限りでない。 (都市再開発法・7条の4第1項)

 ⇒ 都市再開発法

4.「重要文化財に関しその現状を変更しようとする者は,原則として都道府県知事の許可を受けなければならない。」

【正解:×昭和56年,平成15年

◆重要文化財

 史跡名勝天然記念物(特別史跡名勝天然記念物を含む。)現状を変更または保存に影響を及ぼす行為(文化財保護法125条1項)重要文化財(国宝を含む。)現状を変更または保存に影響を及ぼす行為(文化財保護法43条1項)は,文化庁長官の許可を受けなければいけません。

 ⇒ 文化財保護法

●類題
「重要文化財に指定された建造物の屋根形状を変える現状変更をしようとするときは,文化庁長官の許可を得なければならない。」(不動産鑑定士・2次・平成15年)

【正解:


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