法令上の制限 実戦篇

土地区画整理法の過去問アーカイブス 昭和54年 清算金の帰属


次に掲げるもののうち,土地区画整理事業において,原則として清算金の帰属する者はどれか。 (昭和54年)

1.「認可公告時の土地所有者」

2.「事業開始時の土地所有者

3.「仮換地指定時の土地所有者」

4.「換地処分時の土地所有者」

【正解】

× × ×

【正解:清算金の出題 昭和57年・問26・肢4,平成元年・問26・肢4,3年・問26・肢4,

◆清算金の帰属

●清算金の確定と徴収・交付の流れ
 換地処分は,関係権利者換地計画で定められた事項を通知して行う。
            ↓
 都道府県知事または国土交通大臣は,換地処分があった旨を公告する。
            ↓
 換地計画で定められた清算金は,換地処分の公告のあった日の翌日に確定する。(104条8項)
 特約がなければ,換地処分時の土地所有者〔従前の宅地の所有者〕に徴収・交付
 されることになる。(110条1項)

 清算金とは,換地計画では『換地照応の原則』によって換地を定めますが,換地指定で,従前の宅地等に定められるべき換地と現実に定められる換地との間に利用価値・宅地価額の過不足・不均衡が生じたり,所有者などの申出や同意により換地計画でその宅地の全部または一部について換地を定めない(90条)こともできるので,そのような場合には金銭で清算することになっています。(94条)

清算金の徴収・交付・・・利得を得た者から徴収して,損失を受けた者に交付する

●区別しましょう

賦課金・・・組合施行の土地区画整理事業で,保留地の処分が予定価格で売れなかったりして,事業費が不足したときに組合員に賦課する追加の負担金。(40条) 

減価保証金・・・都道府県・市町村・国土交通大臣・都市再生機構・住宅供給公社などが施行する土地区画整理事業の施行後の宅地の価額の総額が土地区画整理事業の施行前の宅地の価額の総額より減少した場合に,その差額に相当する金額を,その公告があった日における従前の宅地の所有者及びその宅地について地上権・永小作権・賃借権その他の宅地を使用収益することができる権利を有する者に対して,減価補償金として交付する(109条1項)

 施行者は,減価補償金を交付しようとする場合,各権利者別の交付額について,土地区画整理審議会の意見を聞かなければならない(109条2項)

(所有者の同意により換地を定めない場合)
第90条  宅地の所有者の申出又は同意があつた場合においては、換地計画において、その宅地の全部又は一部について換地を定めないことができる。この場合において、施行者は、換地を定めない宅地又はその部分について地上権、永小作権、賃借権その他の宅地を使用し、又は収益することができる権利を有する者があるときは、換地を定めないことについてこれらの者の同意を得なければならない。

(清算金)
第94条  換地又は換地について権利(処分の制限を含み、所有権及び地役権を含まない。以下この条において同じ。)の目的となるべき宅地若しくはその部分を定め、又は定めない場合において、不均衡が生ずると認められるときは、従前の宅地又はその宅地について存する権利の目的である宅地若しくはその部分及び換地若しくは換地について定める権利の目的となるべき宅地若しくはその部分又は第89条の4若しくは第91条第3項の規定により共有となるべきものとして定める土地の位置、地積、土質、水利、利用状況、環境等を総合的に考慮して、金銭により清算するものとし、換地計画においてその額を定めなければならない。この場合において、前条第1項、第2項、第4項又は第5項の規定により建築物の一部及びその建築物の存する土地の共有持分を与えるように定める宅地又は借地権については、当該建築物の一部及びその建築物の存する土地の位置、面積、利用状況、環境等をも考慮しなければならないものとする。

(清算金の徴収及び交付)
第110条  施行者は、第103条第4項の公告があつた場合においては、第104条第8項の規定により確定した清算金を徴収し、又は交付しなければならない。この場合において、確定した清算金の額と第102条第1項の規定により徴収し、又は交付した仮清算金の額との間に差額があるときは、施行者は、その差額に相当する金額を徴収し、又は交付しなければならない。

2  前項の規定により徴収し、又は交付すべき清算金は、政令で定めるところにより、利子を附して、分割徴収し、又は分割交付することができる。

(仮清算)
第102条  施行者は、第98条第1項の規定により仮換地を指定した場合又は第100条第1項の規定により使用し、若しくは収益することを停止させた場合において、必要があると認めるときは、第94条に定めるところに準じて仮に算出した仮清算金を、清算金の徴収又は交付の方法に準ずる方法により徴収し、又は交付することができる。

2  第112条の規定は、施行者が前項の規定により仮清算金を交付する場合において、宅地又は宅地について存する権利について先取特権、質権又は抵当権があるときについて準用する。

(減価補償金)
第109条  第3条第4項若しくは第5項、第3条の2又は第3条の3の規定による施行者は、土地区画整理事業の施行により、土地区画整理事業の施行後の宅地の価額の総額が土地区画整理事業の施行前の宅地の価額の総額より減少した場合においては、その差額に相当する金額を、その公告があつた日における従前の宅地の所有者及びその宅地について地上権、永小作権、賃借権その他の宅地を使用し、又は収益することができる権利を有する者に対して、政令で定める基準に従い、減価補償金として交付しなければならない。

2  施行者は、前項の規定による減価補償金を交付しようとする場合においては、各権利者別の交付額について、土地区画整理審議会の意見を聞かなければならない。

(経費の賦課徴収)
第40条  組合は、その事業に要する経費に充てるため、賦課金として参加組合員以外の組合員に対して金銭を賦課徴収することができる。

2  賦課金の額は、組合員が施行地区内に有する宅地又は借地の位置、地積等を考慮して公平に定めなければならない。

3  組合員は、賦課金の納付について、相殺をもつて組合に対抗することができない。

4  組合は、組合員が賦課金の納付を怠つた場合においては、定款で定めるところにより、その組合員に対して過怠金を課することができる。

(参加組合員の負担金及び分担金)
第40条の2  参加組合員は、政令で定めるところにより、換地計画において定めるところにより取得することとなる宅地の価額に相当する額の負担金及び組合の事業に要する経費に充てるための分担金を組合に納付しなければならない。

2  前条第3項及び第4項の規定は、前項の負担金及び分担金について準用する。

(組合員)
第25条  組合が施行する土地区画整理事業に係る施行地区内の宅地について所有権又は借地権を有する者は、すべてその組合の組合員とする。

2  施行地区内の宅地について存する未登記の借地権で第19条第3項又は第85条第1項の規定による申告のないものは、その申告のない限り、前項の規定の適用については、存しないものとみなし、施行地区内の宅地について存する未登記の借地権で第19条第3項又は第85条第1項の規定による申告があつたもののうち同条第3項の規定による届出のないものは、その届出のない限り、前項の規定の適用については、その借地権の移転、変更又は消滅がないものとみなす。

(参加組合員)
第25条の2  前条第1項に規定する者のほか、独立行政法人都市再生機構、地方住宅供給公社その他政令で定める者であつて、組合が都市計画事業として施行する土地区画整理事業に参加することを希望し、定款で定められたものは、参加組合員として、組合の組合員となる。


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