宅建試験
法改正情報
レポートNo.01
  '09法改正の展望

●主な改正の概要のアウトライン

 法改正はある日突然施行されるのではありません。学習を始める際に改正の見通しをつけておけば無駄な心配をしなくてすみます。  なお,平成20年までの宅建試験では,その年の4月1日現在の法令を基準とするとされてきており,平成21年も例年通り,4月1日現在の法令によるものと思われます。ここでは,改正点のアウトラインを扱い個々の改正点については,後日,改正点ごとに項目別に掲載します (メルマガ掲載分を編集して収録します)。

 平成21年の改正点は,税法関連を除けば,新規の改正については,比較的小変更の範囲です。しかし,平成20年宅建試験では,平成20年より前の改正点が集中的に出題されていたので,過去の改正点についても,十分,注意してください。

【1000本ノック・改正法・一問一答】(改正の詳細予想問題) をご活用ください。

メルマガにも掲載しています。

今年から試験範囲になったものだけでなく,近年の改正法も見ておく必要があります。当サイトの過去のページとともに,以下のページも有用なので,ぜひ,ご覧ください。(不動産受験新報 〔住宅新報社〕 で十影の執筆した国家試験改正法講座のバックナンバーです。)

  不動産受験新報 平成20年・3月号 都市計画法
  
不動産受験新報 平成20年・4月号 建築基準法・宅地造成等規制法

  不動産受験新報 平成20年5・6月号 宅建業法・借地借家法・その他の分野の改正

●平成21年に出題範囲となる主な法改正のまとめ方 〔税法除く〕
□「地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律」の施行による改正
 (平成20年11月4日施行)
 地域における歴史的風致の
 維持及び向上に関する法律
 ⇒ <都市計画法>

地区計画等
 歴史的風致維持向上地区計画
 が追加。

33条の開発許可基準に,
 歴史的風致維持向上地区整備計画
 適合することが追加。

 ⇒ <建築基準法>

 ・「地区整備計画等」に,
 歴史的風致維持向上地区整備計画
 追加。

 ⇒  <宅建業法施行令>

 35条重要事項の追加

 ・歴史的風致形成建造物増築,改築,
  移転又は除却
をしようとする場合
 (変更の場合も)は,30日前までに,
 市町村長に届出。

 ・歴史的風致維持向上地区計画の区域
  内で,土地の区画形質の変更,建築物
  等の新築、改築又は増築その他政令で
  定める行為(変更も)をしようとする者は,
  30日前までに,市町村長に届出。

□「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」の施行による改正
 (平成20年12月1日施行)

 民法34条に定める社団法人 ⇒ 一般社団法人,

                     一般社団法人もしくは一般財団法人

一般社団法人及び
一般財団法人に関する法律
 ⇒  <民法>

・法人の規定

・限定承認等の規定

 ⇒  <都市計画法>

・都市計画の提案者に
 一般社団法人もしくは一般財団法人

 ⇒  <宅建業法>

・供託所等の説明 (一般社団法人)

・保証協会 (一般社団法人)

●民法の改正  〔平成20年12月1日施行〕
  「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」(平成20年12月1日施行)の施行に伴い,民法で連動して改正がありました。

 改正点としては,大別すると,法人の規定,限定承認の規定の二つに絞られます。法人については,相当数の改正が行われているので重要なもののみを掲げます。

 1) 法人の規定 〔宅建試験で今まで出題されたことはありません。〕

●改正後 〜法人の規定〜
(法人の成立)
第33条
 法人は、この法律その他の法律の規定によらなければ、成立しない。  

2  学術、技芸、慈善、祭祀、宗教その他の公益を目的とする法人、営利事業を営むことを目的とする法人その他の法人の設立、組織、運営及び管理については、この法律その他の法律の定めるところによる。

(法人の能力)
第34条
  法人は、法令の規定に従い、定款その他の基本約款で定められた目的の範囲内において、権利を有し、義務を負う。

●改正前 〜法人の規定〜
 (法人の成立)
第33条  法人は、この法律その他の法律の規定によらなければ、成立しない。

(公益法人の設立)
第34条  学術、技芸、慈善、祭祀、宗教その他の公益に関する社団又は財団であって、営利を目的としないものは、主務官庁の許可を得て、法人とすることができる。

 2) 限定承認に関する規定 〔以下は,宅建試験で今まで出題されたことはありません。〕

●相続に関する改正後
(相続債権者及び受遺者に対する公告及び催告)

第927条  限定承認者は、限定承認をした後五日以内に、すべての相続債権者(相続財産に属する債務の債権者をいう。以下同じ。)及び受遺者に対し、限定承認をしたこと及び一定の期間内にその請求の申出をすべき旨を公告しなければならない。この場合において、その期間は、二箇月を下ることができない。(変更なし)

2  前項の規定による公告には、相続債権者及び受遺者がその期間内に申出をしないときは弁済から除斥されるべき旨を付記しなければならない。ただし、限定承認者は、知れている相続債権者及び受遺者を除斥することができない。(新規)

3  限定承認者は、知れている相続債権者及び受遺者には、各別にその申出の催告をしなければならない。(新規)

4  第一項の規定による公告は、官報に掲載してする。(新規)

(相続債権者及び受遺者に対する弁済)
第957条
 第952条第2項の公告があった後二箇月以内に相続人のあることが明らかにならなかったときは、相続財産の管理人は、遅滞なく、すべての相続債権者及び受遺者に対し、一定の期間内にその請求の申出をすべき旨を公告しなければならない。この場合において、その期間は、二箇月を下ることができない。(変更なし)

2  第927条第2項から第4項まで及び第928条から第935条まで(第932条ただし書を除く。)の規定は、前項の場合について準用する。(改正による小変更)

●宅地建物取引業法 
■歴史的風致維持向上地区計画の創設 (平成20年12月1日施行)

 「地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律」の施行に伴い,宅建業法施行令で,重要事項として説明する法令上の制限に,以下の追加がありました。

●35条の重要事項説明
(法第35条第1項第2号 の法令に基づく制限)

第3条  法第35条第1項第2号 の法令に基づく制限で政令で定めるものは、宅地又は建物の貸借の契約以外の契約については、次に掲げる法律の規定(これらの規定に基づく命令及び条例の規定を含む。)に基づく制限で当該宅地又は建物に係るもの及び都市計画法施行法 (昭和43年法律第101号)第38条第3項 の規定により、なお従前の例によるものとされる緑地地域内における建築物又は土地に関する工事若しくは権利に関する制限(同法第26条 及び第28条 の規定により同法第38条第3項 の規定の例によるものとされるものを含む。)で当該宅地又は建物に係るものとする。

十二の五  地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律(平成20年法律第40号)第15条第1項及び第2項並びに第33条第1項及び第2項 〔改正による追加〕

〔補充〕

●15条1項 歴史的風致形成建造物の増築,改築,移転又は除却をしようとする場合は,30日前までに,市町村長に届け出る。

●15条2項 (歴史的風致形成建造物の増築,改築,移転又は除却) 変更をしようとする場合は,30日前までに,市町村長に届け出る。

●33条1項 歴史的風致維持向上地区計画の区域(歴史的風致維持向上地区整備計画が定められている区域に限る。)内で,土地の区画形質の変更、建築物等の新築、改築又は増築その他政令で定める行為をしようとする者は,30日前までに,市町村長に届け出る。

●33条2項 変更をしようとする場合は,30日前までに,市町村長に届け出る。

■一般社団法人・一般財団法人の施行による改正 (平成20年12月1日施行)

 「民法34条の規定により設立された社団法人」 ⇒ 「一般社団法人」などに変更になっています。

●供託所等に関する説明
(供託所等に関する説明)
第35条の2  宅地建物取引業者は、宅地建物取引業者の相手方等に対して、当該売買、交換又は貸借の契約が成立するまでの間に、当該宅地建物取引業者が第64条の2第1項の規定により指定を受けた一般社団法人の社員でないときは第1号に掲げる事項について、当該宅地建物取引業者が同条同項の規定により指定を受けた社団法人の社員であるときは、第64条の8第1項の規定により国土交通大臣の指定する弁済業務開始日前においては第1号及び第2号に掲げる事項について、当該弁済業務開始日以後においては第2号に掲げる事項について説明をするようにしなければならない。

一  営業保証金を供託した主たる事務所の最寄りの供託所及びその所在地

二  社員である旨、当該一般社団法人の名称、住所及び事務所の所在地並びに第64条の7第2項の供託所及びその所在地

●保証協会
(指定)

第64条の2  国土交通大臣は、に掲げる要件を備える者の申請があつた場合において、その者が次条第1項各号に掲げる業務の全部について適正な計画を有し、かつ、確実にその業務を行うことができると認められるときは、この章に定めるところにより同項各号に掲げる業務を行なう者として、指定することができる。

一  申請者が一般社団法人であること。

二  申請者が宅地建物取引業者のみを社員とするものであること。

三  申請者が第六十四条の二十二第一項の規定により指定を取り消され、その取消しの日から五年を経過しない者でないこと。

四  申請者の役員のうちに次のいずれかに該当する者がないこと。

イ 第五条第一項第一号から第四号までのいずれかに該当する者

ロ 指定を受けた者(以下この章において「宅地建物取引業保証協会」という。)が第六十四条の二十二第一項の規定により指定を取り消された場合において、当該取消しに係る聴聞の期日及び場所の公示の日前六十日以内にその役員であつた者で当該取消しの日から五年を経過しないもの

●指定流通機構
第二節 指定流通機構

(指定等)
第50条の2の5  第34条の2第5項の規定による指定(以下この節において「指定」という。)は、次に掲げる要件を備える者であつて、次条第一項各号に掲げる業務を適正かつ確実に行うことができると認められるものにつき、国土交通省令で定めるところにより、その者の同意を得て行わなければならない。

一  宅地及び建物の取引の適正の確保及び流通の円滑化を目的とする一般社団法人又は一般財団法人であること。

二  第50条の14第1項の規定により指定を取り消され、その取消しの日から五年を経過しない者でないこと。

三  役員のうちに次のいずれかに該当する者がないこと。

イ 第5条第1項第1号、第3号又は第3号の2に該当する者

ロ 指定流通機構が第50条の14第1項の規定により指定を取り消された場合において、当該取消しに係る聴聞の期日及び場所の公示の日前六十日以内にその指定流通機構の役員であつた者で当該取消しの日から五年を経過しないもの

宅地建物取引業協会及び宅地建物取引業協会連合会
第74条  その名称中に宅地建物取引業協会という文字を用いる一般社団法人(次項に規定するものを除く。)は、宅地建物取引業の適正な運営を確保するとともに宅地建物取引業の健全な発達を図るため、社員の指導及び連絡に関する事務を行うことを目的とし、かつ、一の都道府県の区域内において事業を行う旨及び宅地建物取引業者を社員とする旨の定款の定めがあるものでなければならない。(改正による全面変更)

2  その名称中に宅地建物取引業協会連合会という文字を用いる一般社団法人は、宅地建物取引業の適正な運営を確保するとともに宅地建物取引業の健全な発達を図るため、社員の指導及び連絡に関する事務を行うことを目的とし、かつ、全国において事業を行う旨及び前項に規定する一般社団法人(以下「宅地建物取引業協会」という。)を社員とする旨の定款の定めがあるものでなければならない。(改正による全面変更)

3  前二項に規定する定款の定めは、これを変更することができない。(改正による全面変更)

4  宅地建物取引業協会及び第二項に規定する一般社団法人(以下「宅地建物取引業協会連合会」という。)は、成立したときは、成立の日から二週間以内に、登記事項証明書及び定款の写しを添えて、その旨を、宅地建物取引業協会にあつては都道府県知事に、宅地建物取引業協会連合会にあつては国土交通大臣に届け出なければならない。(改正による新規の規定)

5 国土交通大臣は、宅地建物取引業協会連合会に対して、都道府県知事は、宅地建物取引業協会に対して、宅地建物取引業の適正な運営を確保し、又は宅地建物取引業の健全な発達を図るため、必要な事項に関して報告を求め、又は必要な指導、助言及び勧告をすることができる。 (4項から5項に項数の変更)

(名称の使用制限)
第75条
 宅地建物取引業協会及び宅地建物取引業協会連合会でない者は、宅地建物取引業協会又は宅地建物取引業協会連合会という文字をその名称中に用いてはならない。

 

●都市計画法    (平成20年11月4日施行)
■歴史的風致維持向上地区計画の創設 (平成20年11月4日施行)

 「地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律」の施行に伴い,都市計画法で,以下の改正がありました。

●地区計画等
(地区計画等)
第12条の4  都市計画区域については、都市計画に、次に掲げる計画で必要なものを定めるものとする。

一  地区計画

二  密集市街地整備法第32条第1項 の規定による防災街区整備地区計画

三 地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律(平成20年法律第40号)第31条第1項の規定による歴史的風致維持向上地区計画

四  幹線道路の沿道の整備に関する法律(昭和55年法律第34号)第9条第1項の規定による沿道地区計画

五  集落地域整備法 (昭和62年法律第63号)第5条第1項 の規定による集落地区計画

2  地区計画等については、地区計画等の種類、名称、位置及び区域その他政令で定める事項を都市計画に定めるものとする。

(防災街区整備地区計画等について都市計画に定めるべき事項)
第12条の13  防災街区整備地区計画、歴史的風致維持向上地区計画、沿道地区計画及び集落地区計画について都市計画に定めるべき事項は、第12条の4第2項に定めるもののほか、別に法律で定める。

(都市計画基準)
第13条 

 第1項本文 都市計画区域について定められる都市計画(区域外都市施設に関するものを含む。次項において同じ。)は、国土形成計画、首都圏整備計画、近畿圏整備計画、中部圏開発整備計画、北海道総合開発計画、沖縄振興計画その他の国土計画又は地方計画に関する法律に基づく計画(当該都市について公害防止計画が定められているときは、当該公害防止計画を含む。第三項において同じ。)及び道路、河川、鉄道、港湾、空港等の施設に関する国の計画に適合するとともに、当該都市の特質を考慮して、次に掲げるところに従つて、土地利用、都市施設の整備及び市街地開発事業に関する事項で当該都市の健全な発展と秩序ある整備を図るため必要なものを、一体的かつ総合的に定めなければならない。この場合においては、当該都市における自然的環境の整備又は保全に配慮しなければならない。

第1項十六号 歴史的風致維持向上地区計画は、地域におけるその固有の歴史及び伝統を反映した人々の活動とその活動が行われる歴史上価値の高い建造物及びその周辺の市街地とが一体となつて形成してきた良好な市街地の環境の維持及び向上並びに土地の合理的かつ健全な利用が図られるように定めること。

4  都市再開発方針等、第八条第一項第四号の二、第五号の二、第六号、第八号及び第十号から第十六号までに掲げる地域地区、促進区域、被災市街地復興推進地域、流通業務団地、市街地開発事業、市街地開発事業等予定区域(第十二条の二第一項第四号及び第五号に掲げるものを除く。)、防災街区整備地区計画、歴史的風致維持向上地区計画、沿道地区計画並びに集落地区計画に関する都市計画の策定に関し必要な基準は、前三項に定めるもののほか、別に法律で定める。

(開発許可の基準)
第33条
 都道府県知事は、開発許可の申請があつた場合において、当該申請に係る開発行為が、次に掲げる基準(第四項及び第五項の条例が定められているときは、当該条例で定める制限を含む。)に適合しており、かつ、その申請の手続がこの法律又はこの法律に基づく命令の規定に違反していないと認めるときは、開発許可をしなければならない。

五  当該申請に係る開発区域内の土地について地区計画等(次のイからまでに掲げる地区計画等の区分に応じて、当該イからニまでに定める事項が定められているものに限る。)が定められているときは、予定建築物等の用途又は開発行為の設計が当該地区計画等に定められた内容に即して定められていること。

イ 地区計画 再開発等促進区若しくは開発整備促進区(いずれも第十二条の五第五項第二号に規定する施設の配置及び規模が定められているものに限る。)又は地区整備計画

ロ 防災街区整備地区計画 地区防災施設の区域、特定建築物地区整備計画又は防災街区整備地区整備計画

ハ 歴史的風致維持向上地区計画 歴史的風致維持向上地区整備計画

ニ 沿道地区計画 沿道再開発等促進区(幹線道路の沿道の整備に関する法律第九条第四項第二号に規定する施設の配置及び規模が定められているものに限る。)又は沿道地区整備計画

ホ 集落地区計画 集落地区整備計画

一般社団法人・一般財団法人の施行による改正 (平成20年12月1日施行)

 21条の2第2項中,「民法 (明治29年法律第89号)第34条 の法人その他の営利を目的としない法人」が,「一般社団法人若しくは一般財団法人その他の営利を目的としない法人」に変わりました。

●改正後 
(都市計画の決定等の提案)
第21条の2  都市計画区域又は準都市計画区域のうち、一体として整備し、開発し、又は保全すべき土地の区域としてふさわしい政令で定める規模以上の一団の土地の区域について、当該土地の所有権又は建物の所有を目的とする対抗要件を備えた地上権若しくは賃借権(臨時設備その他一時使用のため設定されたことが明らかなものを除く。以下「借地権」という。)を有する者(以下この条において「土地所有者等」という。)は、一人で、又は数人共同して、都道府県又は市町村に対し、都市計画(都市計画区域の整備、開発及び保全の方針並びに都市再開発方針等に関するものを除く。次項において同じ。)の決定又は変更をすることを提案することができる。この場合においては、当該提案に係る都市計画の素案を添えなければならない。

2  まちづくりの推進を図る活動を行うことを目的とする特定非営利活動促進法 (平成十年法律第七号)第二条第二項 の特定非営利活動法人、一般社団法人若しくは一般財団法人その他の営利を目的としない法人、独立行政法人都市再生機構、地方住宅供給公社若しくはまちづくりの推進に関し経験と知識を有するものとして国土交通省令で定める団体又はこれらに準ずるものとして地方公共団体の条例で定める団体は、前項に規定する土地の区域について、都道府県又は市町村に対し、都市計画の決定又は変更をすることを提案することができる。同項後段の規定は、この場合について準用する。

●建築基準法 

 ■歴史的風致維持向上地区計画の創設

 「地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律」の施行に伴い,建築基準法で,以下の改正がありました。<出題履歴のあるものに関連した改正点に絞りました>

1) 2条〔用語の定義〕に,「歴史的風致維持向上地区計画」(改正後の2条27号),「歴史的風致維持向上整備地区計画」(改正後の2条28号)が追加されました。

2) 地区整備計画等(68条の2第1項)に,「歴史的風致維持向上地区整備計画」が追加されました。

●改正後の条文 〜赤字が改正によって付加されたもの
(市町村の条例に基づく制限)
第68条の2  市町村は、地区計画等の区域(地区整備計画、特定建築物地区整備計画、防災街区整備地区整備計画、歴史的風致維持向上地区整備計画、沿道地区整備計画又は集落地区整備計画(以下「地区整備計画等」という。)が定められている区域に限る。)内において、建築物の敷地、構造、建築設備又は用途に関する事項で当該地区計画等の内容として定められたものを、条例で、これらに関する制限として定めることができる。

2  前項の規定による制限は、建築物の利用上の必要性、当該区域内における土地利用の状況等を考慮し、地区計画、防災街区整備地区計画、歴史的風致維持向上地区整備計画又は沿道地区計画の区域にあつては適正な都市機能と健全な都市環境を確保するため、集落地区計画の区域にあつては当該集落地区計画の区域の特性にふさわしい良好な居住環境の確保と適正な土地利用を図るため、それぞれ合理的に必要と認められる限度において、同項に規定する事項のうち特に重要な事項につき、政令で定める基準に従い、行うものとする。

 (平成20年11月4日施行)

一般社団法人・一般財団法人の施行による改正 (平成20年12月1日施行)

 宅建試験に関連する改正はありません。

■33条 建築士法等の一部を改正する法律の施行による改正(平成20年11月28日施行)

 宅建試験に関連する改正はないものと考えられます。

●地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律

 (略称 : 地域歴史的風致法,歴史まちづくり法)

 ⇒ 国土交通省のページ

 ・施行令

 ・施行規則

 「地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律」により,以下の二つが宅建業法で重要事項として説明することが義務付けられました。

■歴史的風致形成建造物の創設 (平成20年11月4日施行)

 <歴史的風致形成建造物>は,市町村長が指定します(12条1項)

歴史的風致形成建造物
(増築等の届出及び勧告等)
第15条1項 歴史的風致形成建造物の増築、改築、移転又は除却をしようとする者は、当該増築、改築、移転又は除却に着手する日の30日前までに、主務省令で定めるところにより、行為の種類、場所、着手予定日その他主務省令で定める事項を市町村長に届け出なければならない。ただし、次に掲げる行為については、この限りでない。

 一 通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で政令で定めるもの

 二 非常災害のため必要な応急措置として行う行為

 三 都市計画法第四条第十五項に規定する都市計画事業の施行として行う行為又はこれに準ずる行為として政令で定める行為

 四 前三号に掲げるもののほか、これらに類するものとして政令で定める行為

第15条2項  前項の規定による届出をした者は、その届出に係る事項のうち主務省令で定める事項を変更しようとするときは、当該事項の変更に係る行為に着手する日の三十日前までに、主務省令で定めるところにより、その旨を市町村長に届け出なければならない。

 (歴史的風致形成建造物の所有者等の管理義務)
第16条
 歴史的風致形成建造物の所有者その他歴史的風致形成建造物の管理について権原を有する者は、当該歴史的風致形成建造物の保全に支障を来さないよう、適切に管理しなければならない。

■歴史的風致維持向上地区計画の創設 (平成20年11月4日施行)

歴史的風致維持向上地区計画の区域

(歴史的風致維持向上地区計画)
第31条 次に掲げる条件に該当する土地の区域で、当該区域における歴史的風致の維持及び向上と土地の合理的かつ健全な利用を図るため、その歴史的風致にふさわしい用途の建築物その他の工作物(以下「建築物等」という。)の整備(既存の建築物等の用途を変更して当該歴史的風致にふさわしい用途の建築物等とすることを含む。)及び当該区域内の市街地の保全を総合的に行うことが必要であると認められるものについては、都市計画に歴史的風致維持向上地区計画を定めることができる。

 一 現に相当数の建築物等の建築又は用途の変更が行われつつあり、又は行われることが確実であると認められる土地の区域であること。

 二 当該区域における歴史的風致の維持及び向上に支障を来し、又は来すおそれがあると認められる土地の区域であること。

 三 当該区域における歴史的風致の維持及び向上と土地の合理的かつ健全な利用を図ることが、当該都市の健全な発展及び文化の向上に貢献することとなる土地の区域であること。

 四 都市計画法第8条第1項第1号に規定する用途地域が定められている土地の区域であること。

 (行為の届出及び勧告等)
第33条1項 歴史的風致維持向上地区計画の区域(歴史的風致維持向上地区整備計画が定められている区域に限る。)内において、土地の区画形質の変更、建築物等の新築、改築又は増築その他政令で定める行為をしようとする者は、当該行為に着手する日の30前までに、国土交通省令で定めるところにより、行為の種類、場所、設計又は施行方法、着手予定日その他国土交通省令で定める事項を市町村長に届け出なければならない。ただし、次に掲げる行為については、この限りでない。

 一 通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で政令で定めるもの

 二 非常災害のため必要な応急措置として行う行為

 三 国の機関又は地方公共団体が行う行為

 四 都市計画法第4条第15項に規定する都市計画事業の施行として行う行為又はこれに準ずる行為として政令で定める行為

 五 都市計画法第29条第1項の許可を要する行為

 六 前各号に掲げるもののほか、これらに類するものとして政令で定める行為

2 前項の規定による届出をした者は、その届出に係る事項のうち国土交通省令で定める事項を変更しようとするときは、当該事項の変更に係る行為に着手する日の30日前までに、国土交通省令で定めるところにより、その旨を市町村長に届け出なければならない

●税法関連の改正

 財務省 平成21年・税制改正の概要

 長期優良住宅の普及の促進に関する法律(平成20年12月5日法律第87号)

1) 住宅ローン控除等の新制度 

 平成21年に居住の用に供した場合,以下のように控除される。

借入限度額 控除期間 各年の控除率 最大控除額※
5,000万円 10年間 1.0% 500万円

控除期間・・・控除期間10年間と15年間の選択制は廃止。

最大控除額・・・10年間,各年に,その年の借入残高が5,000万円以上で,その残高の1%が控除された場合の合計額。

≪適用要件≫

1)その者が主として居住の用に供する家屋であること

2)住宅の引渡し又は工事完了から6ヶ月以内に居住の用に供すること

3)床面積が50平方メートル以上あること

4)店舗・事務所等との併用住宅の場合は,床面積の1/2以上が居住用であること

5)住宅ローンの償還期間が10年以上あること

6)合計所得金額が3,000万円以下であること

住宅ローン控除の対象となる増改築の範囲が近年拡大され,耐震改修工事,バリアフリー改修工事,省エネ改修工事もその対象になっている。

 しかし,住宅ローン控除の増改築(耐震改修工事、バリアフリー改修工事、省エネ改修工事)の場合の控除と下記の四つはまったく別物であり,注意する必要がある。

特定の増改築等に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除の控除額に係る特例 [バリアフリー改修控除] (租税特別措置法41条の3の2第1項) ⇒住宅ローン控除(増改築)と併用できない。所得制限3,000万円以内。

住宅の省エネ改修工事等に係る住宅借入金等を有する場合の住宅借入金等特別控除の控除額に係る特例[省エネ改修控除] (租税特別措置法41条の3の2第4項) ⇒住宅ローン控除(増改築)と併用できない。所得制限3,000万円以内。

既存住宅に係る特定の改修工事をした場合の所得税額の特別控除 (平成21年4月1日〜平成22年12月31日までの間に居住の用に供したときに適用される) (租税特別措置法41条の19の3第1項) ⇒住宅ローン控除(増改築)と併用できない。所得制限3,000万円以内。

既存住宅の耐震改修をした場合の所得税額の特別控除
 (租税特別措置法41条の19の2) ⇒住宅ローン控除(増改築)と併用できる。所得制限はない。

2)既存住宅に係る特定の改修工事をした場合の所得税額の特別控除の創設

 ⇒平成21年4月1日〜平成22年12月31日までの間に居住の用に供したときに適用。
 ⇒住宅ローン控除との選択適用(一方を選択すると他方を適用できない)。

 居住者が,自己の居住の用に供する家屋について,一定の省エネ改修工事および一定のバリアフリー改修工事を行った場合に,その工事費用の額と当該工事に係る標準的な工事費用相当額のいずれか少ない金額(上限200万円,太陽光発電装置の設置工事をする場合は300万円)の10%がその年分の所得税額から控除される。

省エネ改修工事・・・条文では,エネルギーの使用の合理化に資する一般断熱改修工事等

バリアフリー改修工事・・・条文では,高齢者等居住改修工事等。年齢が50歳以上である者などの特定居住者が行ったものに限る。)

特定居住者・・・

1)50歳以上の者,

2)要介護または要支援の認定をうけている者,

3)障害者である者,

4)居住者の親族のうち2)若しくは3)に該当する者,または65歳以上の者のいずれかと同居している者 

3) 期限の延長

既存住宅の耐震改修をした場合の所得税額の特別控除

⇒ 平成21年1月1日〜平成25年12月31日までの間に居住の用に供したときに適用

1)適用対象区域の拡大、

2) 「対象金額を改修に要した費用の額」と「改修に係る標準的な工事費用相当額」とのいずれか少ない金額とする 

などの措置を講じて,適用期限が5年間延長された。

一定の耐震改修を行った居住者に対し、その年分の所得税額から耐震改修に要した費用の額の10%相当額(上限20万円)を控除する制度。

優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例

 大都市地域における優良宅地開発の促進に関する緊急措置法の認定及び開発許可を受けて行われる複合的宅地開発事業の事業者に対する譲渡を除外した上、その適用期限を5年延長する。

 登録免許税

1) 土地の売買による所有権の移転登記等に対する登録免許税の税率の軽減措置について、平成21年4月1日以後に引き上げることとしていた税率を2年間据え置き、平成23年4月1日から段階的に引き上げる。

(1) 土地の売買による所有権の移転登記(現行1,000分の10)

平成21年4月1日から平成23年3月31日まで 1,000分の10
平成23年4月1日から平成24年3月31日まで 1,000分の13
平成24年4月1日から平成25年3月31日まで 1,000分の15

(2) 土地の所有権の信託の登記(現行1,000分の2)

平成21年4月1日から平成23年3月31日まで 1,000分の2
平成23年4月1日から平成24年3月31日まで 1,000分の2.5
平成24年4月1日から平成25年3月31日まで 1,000分の3

2) 住宅用家屋の所有権の保存登記若しくは移転登記又は住宅取得資金の貸付け等に係る抵当権の設定登記に対する登録免許税の税率の軽減措置の適用期限を2年延長する。⇒平成23年3月31日までに取得または新築に適用される。

 不動産取得税

1)住宅用家屋及び土地の取得に係る税率の特例措置(4%→3%)を3年延長。

平成24年3月31日までの土地の取得住宅用家屋の取得または新築に適用される。

【注意】 住宅以外の家屋の取得は,4%のまま。

2)宅地評価土地(住宅用地・商業地等)に係る課税標準の特例措置(2分の1)を3年延長 ⇒  平成24年3月31日までの取得に適用される。


HOMEに戻る サイトマップに戻る 法改正のTOPに戻る