税法その他 実戦篇

不当景品類及び不当表示防止法・公正競争規約の過去問アーカイブス 

平成16年・問47 


宅地建物取引業者が行う広告に関する次の記述のうち,不当景品類及び不当表示防止法(不動産の表示に関する公正競争規約を含む。 )の規定によれば,正しいものはどれか。(平成16年・問47)

1.「新聞で建売住宅の販売広告を行ったが,当該広告に関する一般消費者からの問合せが1件もなかった場合には,当該広告は,不当景品類及び不当表示防止法の規制対象となる「表示」には該当しない。」

2.「新聞で中古住宅の販売広告を行う場合,当該住宅から半径1 km 以内に所在する小・中学校及び市役所については,当該住宅からの道路距離の表示を省略して,「小・中学校,市役所近し」と表示することができる。」

3.「土地の有効な利用が著しく阻害される傾斜地を含む宅地の販売広告を行う場合は,土地面積に占める傾斜地の割合にかかわらず,傾斜地を含む旨及び傾斜地の割合またはその面積を明瞭に表示しなければならない。」

4.「新築分譲マンションの完成予想図を販売広告に掲載するに当たり,実際には工場が所在する箇所に公園を記載するなど,周囲の状況について現況に反する表示を行う場合は,「周囲の状況はイメージであって,実際の状況とは異なる」旨を表示しなければならない。」

【正解】

× × ×

1.「新聞で建売住宅の販売広告を行ったが,当該広告に関する一般消費者からの問合せが1件もなかった場合には,当該広告は,不当景品類及び不当表示防止法の規制対象となる「表示」には該当しない。」

【正解:×

◆問合せがなくても景品表示法の規制対象

 景品表示法の規制対象となる「表示」は,「既になくなっているもの」や「問合せがなかったもの」も含まれます。したがって,本肢は誤りです。 

●表示に関する公正競争規約
 この法律で「表示」とは、顧客を誘引するための手段として、事業者が自己の供給する商品又は役務の内容又は取引条件その他これらの取引に関する事項について行なう広告その他の表示であつて、公正取引委員会が指定するものをいう。 (景品表示法2条2項)
 この規約において「表示」とは、顧客を誘引するための手段として事業者が不動産(以下第9章までにおいて「物件」という。)の内容又は取引条件その他取引(事業者自らが貸借の当事者となって行う取引を含む。以下同じ。)に関する事項について行う広告その他の表示(以下「広告表示」という。)であって、次に掲げるものをいう。

(1) 物件自体による表示及びモデル・ルームその他これらに類似する物による表示
(2) チラシ、ビラ、パンフレット、説明書面その他これらに類似する物による広告表示(ダイレクトメール、ファクシミリ等によるものを含む。)及び口頭による広告表示(電話によるものを含む。)
(3) ポスター、看板(プラカード及び建物又は電車、自動車等に記載されたものを含む。)、ネオン・サイン、アドバルーンその他これらに類似する物による広告及び陳列物又は実演による表示
(4) 新聞紙、雑誌その他の出版物、放送(有線電気通信設備又は拡声機による放送を含む。)、映写、演劇又は電光による広告
(5) 情報処理の用に供する機器による広告表示(インターネット、パソコン通信等によるものを含む。)

・・・(表示に関する公正競争規約・4条5項)

2.「新聞で中古住宅の販売広告を行う場合,当該住宅から半径1 km 以内に所在する小・中学校及び市役所については,当該住宅からの道路距離の表示を省略して,「小・中学校,市役所近し」と表示することができる。」

【正解:×

◆公共・公益施設の表示

 各種施設までの距離〔物件の所在地から駅その他の施設までの距離〕について,実際のものよりも短いと誤認されるおそれのある表示は禁止されています(表示に関する公正競争規約・23条6号)

 また,学校、病院、官公署、公園その他の公共・公益施設については,「現に利用できるものを物件までの道路距離を明示して表示しなければなりません(表示に関する公正競争規約・施行規則11条29号)

 したがって,本肢は誤りです。

各種施設までの距離又は所要時間について表示するときは,規則で定めるところにより表示しなければなりません(表示に関する公正競争規約・15条4号) 当該住宅からの道路距離の表示を省略することはできない

●表示に関する公正競争規約
(物件の内容・取引条件等に係る表示基準)

第11条 規約第15条(物件の内容・取引条件等の表示基準)各号に規定する事項について表示するときは、次の各号に定めるところにより表示する。

〔各種施設までの距離又は所要時間〕

(8) 道路距離又は所要時間を表示するときは、起点及び着点を明示して表示すること(他の規定により当該表示を省略することができることとされている場合を除く。)。

(9) 団地(一団の宅地又は建物をいう。以下同じ。)と駅その他の施設との間の距離又は所要時間は、それぞれの施設ごとにその施設から最も近い当該団地内の地点を起点又は着点として算出した数値を表示すること。ただし、当該団地を数区に区分して取引するときは、各区分ごとに距離又は所要時間を算出すること。

(10) 徒歩による所要時間は、道路距離80メートルにつき1分間を要するものとして算出した数値を表示すること。この場合において、1分未満の端数が生じたときは、1分として算出すること。

(11) 自転車による所要時間は、道路距離を明示して、走行に通常要する時間を表示すること。

〔生活関連施設〕

(29) (前号の公共・公益施設以外の)学校、病院、官公署、公園その他の公共・公益施設は、次に掲げるところにより表示すること。
 現に利用できるものを表示すること。
 物件までの道路距離を明示すること。
 その施設の名称を表示すること。ただし、公立学校及び官公署の場合は、パンフレットを除き、省略することができる。

3.「土地の有効な利用が著しく阻害される傾斜地を含む宅地の販売広告を行う場合は,土地面積に占める傾斜地の割合にかかわらず,傾斜地を含む旨及び傾斜地の割合またはその面積を明瞭に表示しなければならない。」

【正解:昭和58年,平成2年,平成8年,平成16年,

急傾斜地を含む宅地−特定事項の明示義務

 表示に関する公正競争規約では,分譲マンションなどを除いて,『傾斜地の割合がおおむね30パーセント以上の場合』や『傾斜地を含むことにより土地の有効な利用が著しく阻害される場合』は,傾斜地を含む旨及び傾斜地の割合またはその面積を明瞭に表示する義務があるとしています。(表示に関する公正競争規約・施行規則9条10号)

 本肢では,「土地の有効な利用が著しく阻害される傾斜地を含む宅地」なので,傾斜地の割合には関係なく,表示しなければいけません。

表示に関する公正競争規約(特定事項の明示義務)

第13条 事業者は、一般消費者が通常予期することができない物件の地勢、形質、立地、環境等に関する事項又は取引の相手方に著しく不利な取引条件であって、規則で定める事項については、それぞれその定めるところにより、見やすい場所に、見やすい大きさ、見やすい色彩の文字規則第10条により、分かりやすい表現で明りょうに表示しなければならない。

※見やすい大きさ・・・施行規則

施行規則第10条 規約に規定する「見やすい大きさの文字」とは、原則として7ポイント以上の大きさの文字による表示(7ポイント未満の大きさの文字による表示であっても、文字の大きさのほか、文字数、レイアウト、書体、文字色、文字間隔、行間隔等を勘案して総合的に判断し、見やすい大きさの文字であると認められる文字による表示を含む。)をいう。

表示公正規約・施行規則9条10号

 傾斜地を含む土地であって、傾斜地の割合が当該土地面積のおおむね30パーセント以上を占める場合(マンション及び別荘地等を除く。)は、傾斜地を含む旨及び傾斜地の割合又は面積を明示すること。ただし、傾斜地の割合が30パーセント以上を占めるか否かにかかわらず、傾斜地を含むことにより、当該土地の有効な利用が著しく阻害される場合(マンションを除く。)は、その旨及び傾斜地の割合又は面積を明示すること。

4.「新築分譲マンションの完成予想図を販売広告に掲載するに当たり,実際には工場が所在する箇所に公園を記載するなど,周囲の状況について現況に反する表示を行う場合は,「周囲の状況はイメージであって,実際の状況とは異なる」旨を表示しなければならない。」

【正解:×

◆完成予想図

 物件の周辺環境について,実際のものよりも優良であると誤認されるおそれのある表示は禁止されています(表示に関する公正競争規約・23条41号)

 また,宅地又は建物の見取図完成図若しくは完成予想図による表示であって,物件の規模、,形状,構造等について,実際のものよりも優良であると誤認されるおそれのある表示,をしてはいけません(表示に関する公正競争規約・23条42号)

 「周囲の状況はイメージであって,実際の状況とは異なる」旨を表示しても,実際のものよりも優良であると誤認されるおそれのある表示が禁止されているのですから,本肢は誤りです。

●不動産の表示に関する公正競争規約
(その他の不当表示)
第23条 事業者は、次に掲げる広告表示をしてはならない。

〔環境等〕
(38) 物件の採光、通風、日照、眺望等について、実際のものよりも優良であると誤認されるおそれのある表示
(39) 物件の周囲の静寂さ、快適さ等について、実際のものよりも優良であると誤認されるおそれのある表示
(40) 物件の方位その他立地条件について、実際のものよりも優良であると誤認されるおそれのある表示
(41) 前2号に規定するもののほか、物件の周辺環境について、実際のものよりも優良であると誤認されるおそれのある表示

〔写真・絵図〕
(42) モデル・ルーム又は写真、コンピュータグラフィックス、見取図、完成図若しくは完成予想図による表示であって、物件の規模、形状、構造等について、実際のものよりも優良であると誤認されるおそれのある表示
(43) 物件からの眺望若しくは景観又は物件を中心とした眺望若しくは景観を示す写真、絵図又はコンピュータグラフィックスによる表示であって、事実に相違する表示又は実際のものよりも優良であると誤認されるおそれのある表示

■施行規則(物件の内容・取引条件等に係る表示基準)

第11条 規約第15条(物件の内容・取引条件等の表示基準)各号に規定する事項について表示するときは、次の各号に定めるところにより表示する。

〔写真・絵図〕
(23) 宅地又は建物の見取図、完成図又は完成予想図は、その旨を明示して用い、当該物件の周囲の状況について表示するときは、現況に反する表示をしないこと。


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